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海外の需給動向【飼料穀物/世界】  畜産の情報 2021年6月号

2020/21年度大豆期末在庫量、前年度比9.9%減と前月から2.9ポイント回復

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 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年4月9日、「Oilseeds:World Markets and Trade」において、2020/21年度の世界の大豆需給予測値を、また同日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値をそれぞれ更新した。
 これによると、2020/21年度の世界の大豆生産量は、全体で137万トン上方修正され、前年度比7.1%増の3億6319万トンとかなりの程度増加すると見込まれている(表18)。なお、EU・英国およびパラグアイは、今回下方修正された。国別では、最大の生産国であるブラジルが、今回単収の増加により200万トン上方修正され、同5.8%増の1億3600万トンと2019/20年度(1億2850万トン)に続き過去最多を更新すると見込まれている。これは、天候の影響により播種および収穫が大幅に遅れたものの、好調な大豆価格を背景として作付面積が過去最高となるとともに単収も前年度を上回るためとみられる。また、アルゼンチンは、乾燥気候などの影響により前回まで繰り返し下方修正されたが、今回は変更なく同2.7%減の4750万トンと見込まれている。
 輸出量は、全体で119万トン上方修正され、前年度比3.6%増の1億7091万トンと見込まれている。国別では、ブラジルが、生産量の増加を背景として100万トン上方修正され、同6.7%減の8600万トンと見込まれている。天候の影響で収穫が遅れ2月の輸出量は少なかったものの、3月は1350万トンと記録的な輸出量となり、2〜3月の輸出量は前年同期を上回った。また米国は、81万トン上方修正され、同35.6%増の6205万トンと前年度を大幅に上回ると見込まれている。これは中国向け輸出量が増加したためであり、特に年度前半は記録的な輸出量となった。一方輸入量は、全体で86万トン上方修正され、同1.7%増の1億6776万トンと見込まれている。国別では、中国が1億トンと世界全体の約6割を占めている。
 消費量(搾油仕向量)は、全体で111万トン下方修正され、前年度比3.5%増の3億2247万トンと見込まれている。国別では、中国が搾油量の減少により200万トン下方修正されたものの、アフリカ豚熱により減少した豚飼養頭数の回復が進むことで飼料用大豆かすを確保する必要があることから、同4.9%増の9600万トンと前年度をやや上回っている。
 期末在庫は、年度当初から下方修正が続いたが、前回より313万トン増と2カ月連続で上方修正され、2.9ポイント回復し前年度比9.9%減の8687万トンとなることが見込まれている。国別では、中国が搾油量の減少により200万トン上方修正され、同17.9%増の3160万トンと見込まれている。ブラジルは、生産量の増加等により89万トン上方修正され、同5.5%増の2189万トンと見込まれている。また米国は、前回からの修正はなく同77.2%減の325万トンと大幅に前年度を下回っており、2013/14年度以来最低の水準となることが見込まれている。


(調査情報部 井田 俊二)