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海外の需給動向【豚肉/EU】 畜産の情報 2021年7月号

アジア地域からの需要によりスペインの輸出量が大幅に増加

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2月の豚肉生産量は前年同月比5.2%増
 欧州委員会によると、2021年2月の豚肉生産量(EU27カ国)は、前年同月比5.2%増の194万5660トンとなった(図8)。また、と畜頭数は同4.1%増の2030万頭、1頭当たり枝肉重量は同1.1%増の95.8キログラムとなった。また、同月の生産量を国別に見ると、スペイン(同4.3%増)、ドイツ(同1.2%増)、ポーランド(同5.6%増)、デンマーク(同13.9%増)、オランダ(同8.7%増)、イタリア(同10.1%増)と、前年同月並みとなったフランスを除き主要生産国ではいずれも増産となった(表7)。
 



 2月の生産量が二桁の伸びとなったデンマークについては、従来、ドイツやポーランドを中心とするEU域内に子豚や生体豚を輸出していた。しかし、2020年9月にドイツの野生イノシシにおいてアフリカ豚熱の感染が確認されたことから、主要輸出先であった中国を含むアジア諸国を中心に、ドイツ産豚肉の一時輸入停止措置が取られているため、デンマークから生体豚を輸入して豚肉に処理していたドイツの一部施設では減産するなど(注1)、デンマークからドイツ向けの生体豚の輸出が減少している。こうした状況の中、デンマークでは2020年12月時点の子豚、肥育豚飼養頭数が前年を上回り(注2)、今回の生産量の増加につながっている。

(注1) 海外情報「デニッシュ・クラウン社、ドイツの豚肉処理工場の生産能力を削減(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002942.html)を参照されたい。

(注2) 『畜産の情報』 2021年5月号「2020年の豚総飼養頭数は、前年比2.1%増」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001628.html)を参照されたい。


豚枝肉卸売価格は、上昇基調
 欧州委員会によると、2021年4月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比13.4%安の100キログラム当たり156.5ユーロ(2万1128円:1ユーロ=135円)となり、2020年5月以降、12カ月連続で前年同月を下回っている。
 一方、同価格の動向を週ごとに見ると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による需要低迷やドイツでのアフリカ豚熱の感染確認を受けて下落傾向で推移したものの、2月1日の週以降は上昇基調で推移し、5月17日は前年同月同週比0.9%高の同160.85ユーロ(2万1715円)と約1年ぶりに前年同期を上回った(図9)。
 こうした上昇の要因として、EU域内の多くの国でCOVID-19に伴う規制などが徐々に緩和し、フードサービス業界の営業再開からEU域内での豚肉の需要が増加していることに加え、アフリカ豚熱の感染が確認されていないEU諸国からの中国向けなどの輸出需要が強いことが挙げられる。
 


2月の豚肉輸出量は前年同月比大幅増
 欧州委員会によると、2021年2月のEU域外への豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量(EU27カ国)は、前年同月比39.6%増の36万5474トンとなった(表8)。豚肉輸出量は、2019年以降、27カ月連続で前年同月を上回って推移している。
 

 輸出先別に見ると、日本向けが唯一減少(同27.8%減)した一方で、中国向け(同55.9%増)、フィリピン向け(同3.4倍)、韓国向け(同2.1%増)、香港向け(同2.5倍)、豪州向け(同4.0%増)、米国向け(同47.9%増)が軒並み増加した。特に、フィリピン向けは、同国におけるアフリカ豚熱発生に伴う豚肉供給不足を背景に大きく増加しており、輸入関税が引き下げられたこと(注3)もあり、引き続き輸出量の増加が見込まれている。

(注3)海外情報「豚肉の供給不足から輸入関税を大幅引き下げ(フィリピン)」(https://www.alic.go.jp/chosa-cu/joho01b_000046.html)を参照されたい。

 また、輸出国別に見ると、EU最大の輸出国であるスペイン(同88.8%増)、第2位のデンマーク(同27.3%増)をはじめ、ドイツを除く主要輸出国のいずれも増加した(表9)。
 前述の通り、ドイツはアフリカ豚熱の感染確認に伴う中国などにおける一時輸入停止措置の影響もあり、輸出量は大幅に減少している一方、その穴埋めをするかのようにスペインの輸出量の増加が目立っている。
 

 
 
(調査情報部 小林 智也)