畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > ブロイラー生産コスト、飼料穀物高を背景に上昇

海外の需給動向【鶏肉/ブラジル】 畜産の情報 2021年7月号

ブロイラー生産コスト、飼料穀物高を背景に上昇

印刷ページ
1〜4月の鶏肉輸出量、前年同期比3.5%増
 ブラジル経済省貿易事務局(SECEX)によると、2021年1〜4月の鶏肉輸出量は、前年同期比3.5%増の131万678トンと前年をやや上回った(表13)。同国の鶏肉輸出は、飼料価格高により生産コストが上昇しているものの、為替相場は米ドルに対するレアル安が続いていることから、有利な状況にあるとみられる(図15)。また、フランスなど他の輸出国において高病原性鳥インフルエンザが発生していることも、同国の鶏肉輸出に有利に働くとみられている。輸出先別に見ると、最大の中国向けは、同8.9%減の20万3091トンと前年をかなりの程度下回った。しかしながら、同国ではアフリカ豚熱の発生に伴う代替需要から依然としてブラジル産鶏肉への引き合いが強いとみられており、21年に入ってからも毎月5万トン程度の輸出が続いている。中国に次ぐ輸出先であるサウジアラビア向けは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から20年前半に減少が見られたものの、その後回復し同9.4%増の15万9738トンとなった。また、日本向けは比較的安定しており同1.7%減の12万8969トンとなった。
 



ブロイラー生産コスト指数、1年間で120ポイント超上昇
 ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)養鶏・養豚センター(CIAS)によると、最大の鶏肉生産州であるパラナ州のブロイラー生産コスト指数(2010年1月の生産コストを100とした指数)は、上昇基調で推移している。同指数は、2018年4月から19年9月ごろまで220ポイント前後で推移していたが、その後上昇傾向で推移し、21年4月には386.3ポイント(前年同月比123.3ポイント増)に達している(図16)。これは、鶏肉生産コストの約7割を占める飼料費が、国内外の堅調な飼料穀物需要を背景として引き続き上昇しているためである。ブロイラー用飼料の主原料となるトウモロコシの卸売価格(マットグロッソ州)は、19年10月ごろから上昇傾向で推移し、21年4月には60キログラム当たり86.6レアル(1819円:1レアル=21円)となり前年同月比67.2%高と大幅に上昇した(図17)。
 国内での飼料穀物価格高の対策としてSECEXは4月19日、20年10月に導入していたメルコスール以外からのトウモロコシなどの輸入税免除措置を4月以降も継続し、21年末まで延長することを決定した。
 



鶏肉卸売価格は上昇傾向を維持し、高値で推移
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、ブラジルの鶏肉卸売価格は、同国内でCOVID-19が拡大し始めた2020年3〜5月ごろにかけて下落したが、比較的安価な食肉として鶏肉需要が堅調であることなどを背景に上昇に転じ、その後も上昇傾向で推移している(図18)。サンパウロ州の鶏肉卸売価格(名目価格)は、21年5月11日に1キログラム当たり7.1レアル(約149円)と統計が開始された04年以降の最高値を記録し、その後も高値で推移している。
 
 
(調査情報部 井田 俊二)