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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2021年8月号

鶏卵卸売価格は4カ月連続で前年同月を上回る

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 令和3年6月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり259円(前年同月比99円高)と4カ月連続で前年同月を上回り、直近5カ年の6月の同価格の中で最も高い水準となった(図27)。例年、年明けに下落した同価格は、春先に向けて再び上昇した後、気温の上昇とともに低下する傾向がある。しかしながら、高病原性鳥インフルエンザの発生による今シーズンの採卵鶏における殺処分羽数は全国の採卵鶏飼養羽数の約5%を占める約900万羽と多かったことなどにより、今年は例年とは異なる価格動向となっている。
 なお、日ごとの価格の推移を見ると、1月以降上昇していた同価格は5月に260円まで上昇し、その後6月28日に5円安の同255円となった。
 今後について、供給面を見ると、え付けしたひなが産卵を開始するのは約5カ月後とされるが、鶏卵供給量に影響を与える一因となる採卵用めすの出荷・え付け羽数(注)は、一般社団法人日本種鶏孵卵協会によると、3年5月は859万8000羽(前年同月比4.4%減)と前年同月をやや下回っている。3年1〜5月を見ても4245万8000羽(前年同期比5.0%減)と前年同期をやや下回っているものの、4月は同羽数が前年同月を上回っていたこともあり、引き続き、今後の同羽数の動向が注目される。
 需要面は、気温の上昇に伴い需要が減少する時期ではあるが、例年と比べると内食および中食の堅調な需要が期待される一方、外食需要の早急な回復は難しいとみられる。

(注)一般社団法人日本種鶏孵卵協会調査の報告羽数の集計値であって、全国の推計値ではない。
 

鶏卵小売価格、2カ月連続で前年同月を上回る
 鶏卵小売価格は、国内の鶏卵消費量のほとんどが国内の生産で賄われていることから、卸売価格に影響を受ける傾向がある。
 卸売価格(東京、M玉基準値)が3月以降4カ月連続で前年同月を上回る水準で推移する中、6月の小売価格(東京都区部)は1パック当たり229円(前年同月比4円高)となり、2カ月連続で前年同月を上回って推移し、直近4カ年(平成30年〜令和3年)の中で平成30年に次ぐ水準となっている(図28)。
 なお、鶏卵消費の約5割を占める家計消費を見ると、5月の家計消費量(全国1人当たり)は1004グラム(前年同月比2.6%減)とわずかに、支出金額(全国1人当たり)は310円(同3.8%減)とやや、いずれも前年同月を下回った。しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生前の過去5カ年(平成27年〜令和元年)の5月の平均消費量(全国1人当たり900グラム)および平均支出金額(同266円)と比べると、消費量は11.6%増とかなり大きく、支出金額は16.4%増と大幅に、いずれも上回っており、高い水準にあることが分かる(総務省「家計調査」)。
 
 
(畜産振興部 前田 絵梨)