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海外の需給動向【牛乳・乳製品/米国】 畜産の情報 2021年9月号

1〜5月の乳製品輸出量は好調に推移

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6月の生乳生産量、4カ月連続で前年同月を上回る
 米国農務省(USDA)によると、2021年6月の生乳生産量は、前年同月比2.9%増の859万8000トンとなり、4カ月連続で前年同月を上回った(図19)。
 
 
 米国の生乳生産量は、搾乳牛(乳用経産牛)頭数および1頭当たりの乳量の増加を背景に、19年後半から増加傾向となっており、20年以降は、同年5月および21年2月を除き、前年同月を上回って推移している。

飼料費の高騰で酪農経営の収益低下
 USDAによると、2021年6月の酪農マージン(注)は、高騰する飼料費などを要因に生乳100ポンド当たり6.24米ドル(1キログラム当たり15.1円:1米ドル=110円)と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う乳価急落により落ち込んだ前年4、5月に近い水準となった。直近の動きを見ると、20年9月以降、飼料費が上昇傾向で推移し、記録的な水準となっていることから、21年2月以降の酪農マージンは同6米ドル台と低調に推移している(図20)。
 

  飼料費の上昇については、米国内の底堅い飼料需要や中国の飼料穀物の輸入増などを背景に、2020/21穀物年度(9月〜翌8月)の期末在庫が低水準見込みとされたことで、穀物相場が上昇していることが要因とみられる。6月の飼料価格は、トウモロコシが1ブッシェル当たり6米ドル(660円、前年同月比89.9%高)、大豆油かすが1トン当たり378米ドル(4万1580円、同31.0%高)、アルファルファ乾草が同215米ドル(2万3650円、同12.9%高)といずれも高水準になっている。

(注)酪農家のセーフティネット制度である酪農マージン保証プログラム(DMC)において、全米平均
総合乳価と飼料費の差額として算定される収益。酪農マージンが発動基準(酪農家が各自で選
択)を下回った場合、該当する酪農家に対して補填が発動される。


バターやホエイの輸出量、前年を大幅に上回って推移
 2021年5月の主要乳製品の輸出量を品目別に見ると、バターは、高水準な在庫を背景に米国産は価格面で優位性があり、輸出量は前年同月比で約3倍となった(図21、表9)。脱脂粉乳についても、輸出先での好調な需要や米国産の価格優位性から、経済回復が急速に進んでいるメキシコや中東・北アフリカ向けを中心に輸出量は引き続き好調に推移している。チーズは、前年の米国内の相場安に伴う価格優位性などにより、アジア向けを中心に輸出量が多かったことから、前年同月をかなり大きく下回った。ホエイは、飼料用として中国向けが引き続き好調に推移しており、在庫は低水準で推移している。米国乳製品輸出協会(USDEC)は、輸出先の外食需要の回復でこれら米国産乳製品の輸出は今後数カ月間にわたって増加していくとみている。
 2021年1〜5月の主要乳製品の輸出量を品目別に見ると、輸出先の経済回復や米国産の価格優位性などを背景に、乳糖を除き、前年同期を上回っている。
 


(調査情報部 河村 侑紀)