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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2021年10月号

7月の生乳生産量・飲用牛乳需要堅調に推移、令和2年度分のナラシ事業発動

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7月の脱脂粉乳・バター等仕向け量は前年同月比16.2%増
 令和3年7月の生乳生産量は、63万9242トン(前年同月比1.8%増)となった(図15)。地域別に見ると、北海道は36万6439トン(同2.7%増)、都府県は27万2803トン(同0.6%増)と、いずれも前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。本年の梅雨明けは多くの地域で前年より早い7月中旬であり、その後の気温上昇による生乳生産量の減少が予想されたが、7月全体としては6月を大きく下回る結果とはならなかった(表)。
 用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けが34万885トン(前年同月比5.3%減)と前年同月をやや下回った。一方、乳製品向けは、29万4080トン(同11.3%増)と前年同月をかなり大きく上回った。中でも、脱脂粉乳・バター等向けおよびチーズ向けは、それぞれ14万3624トン(同16.2%増)、3万8727トン(同16.4%増)といずれも前年同月を大幅に上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。




加工原料乳生産者経営安定対策事業(ナラシ事業)が14年ぶりに発動
 加工原料乳生産者経営安定対策事業(ナラシ事業)は、加工原料乳価格の全国平均取引価格が過去3年間の全国平均取引価格の平均を下回った場合に、生産者の拠出と国の助成金による積立金(生産者:国=1:3)から、生産者に補てん金(差額の8割)を交付する事業である。今回の発動は、令和2年度の取引分についてであり、14年ぶりとなった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による加工原料乳の平均取引価格の低落によるものであり、以下の二つの要因が挙げられる。
 一つは、外食需要の減退により乳価の高いクリーム等への生乳の仕向け量が減少し、余剰生乳が長期保存可能な乳価の低い脱脂粉乳・バター等に仕向けられたことによる。生乳の脱脂粉乳・バター等向けおよびクリーム向け仕向け割合をそれぞれ令和2年度と平成29〜令和元年度平均で比較すると、2年度は年間を通して平成29〜令和元年度平均よりも脱脂粉乳・バター等は高い水準で、クリームは低い水準で推移したため、加工原料乳全体の取引価格の低下につながった(図16、17)。


 
 もう一つの要因は、インバウンド・土産などの需要低下によって乳製品在庫が増加し、安値で取引されたことによるものである。COVID-19以降、観光面での打撃も大きく、外食も含めて業務用需要が回復しなかったため、在庫量は高水準で推移した(図18、19)。
 このような状況を反映し、脱脂粉乳の大口需要者価格は、令和2年5月以降低下し、本年3月には25キログラム当たり1万7631円(前年同月比1.3%安)まで下落した(図20)。



 

 
直接飲用牛乳の巣ごもり需要継続
 令和3年7月の牛乳生産量は、27万1204キロリットル(前年同月比4.1%減)と前年同月をやや下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。これを区分別に見ると、学校給食用は、COVID-19による春の休校に伴う小中学校の夏休み大幅短縮となった前年度と異なり、今年度の夏休みの開始時期は例年並みとなったことから、2万3199キロリットル(同33.8%減)と前年同月を大幅に下回った。また、業務用は需要が引き続き例年の水準には回復していないため、2万3196キロリットル(同0.2%増)と前年並みであった。
 一方、牛乳生産量から業務用と学校給食用を除いた数量は、小売店などで直接飲用として販売される牛乳であり、3年7月は22万4809キロリットル(同0.1%増)であった。前年同月を上回るのは本年1月以来6カ月ぶりだが、今年度の直接飲用は、元年度と比較すると上回って推移しており、巣ごもり需要が継続しているものとみられる(図21)。


 
(酪農乳業部 古角 太進)