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海外の需給動向【豚肉/米国】  畜産の情報 2021年10月号

6月の豚肉輸出量、需要増から引き続き記録的な水準

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7月の豚肉生産量、前年同月比13.6%減
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が毎月更新する「Livestock & Meat Domestic Data」によると、2021年7月の豚肉生産量は93万トン(前年同月比13.6%減)と前年同月をかなり大きく下回った(図11)。この要因として、と畜場稼働日数が前年同月比で1日少なかったことに加え、パッカー(処理加工業者)が土曜日のと畜頭数を例年の半分以下に減らしたことなどが挙げられる。なお、米国のパッカーは、需給状況に応じて土曜日の稼働の有無や処理量を決めている。
 USDAによると、肥育豚価格の上昇や6月の豚肉卸売価格が上旬から下旬にかけて2割ほど低下したことで、6月のパッカーの利益率が悪化したことから、パッカー各社は利益率を高めるために7月の土曜日のと畜頭数を大幅に減らし供給量を抑えたとされている。
 

8月の豚肉卸売価格、前年同月比約7割高で推移
 米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2021年8月の豚肉卸売価格は例年を大きく上回り、前年同月比約7割高の高水準で推移している(図12)。米国内の外食需要の回復や、豚肉輸出量が過去最高となった前年を上回るペースで推移していることなどによる豚肉在庫の減少が、同価格を押し上げているとみられる。

 
6月の豚肉輸出量、前年同月比9.5%増
 USDA/ERSの「Livestock and Meat International Trade Data」によると、2021年6月の豚肉輸出量は25万5700トン(前年同月比9.5%増)と19年下半期以降引き続き記録的なペースが続いており、同年上半期(1〜6月)の合計は173万8800トン(前年同期比1.0%増)となった(表5、図13)。
 6月の豚肉輸出量を主要輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けは、前年下半期以降、同国の経済回復に伴い豚肉需要が好調であることなどから、前年同月比約5割増と大幅に増加した。中国向けは、中国国内の豚肉価格の下落に伴い輸入需要が減少していることから、同約5割減と大幅に減少した。日本向けは、好調な小売需要を背景に冷蔵品が増加している。韓国向けは、小売、eコマース(電子商取引)需要が好調で、特にバラや肩ロースなどの冷蔵品が増加している。フィリピン向けは、アフリカ豚熱の発生による国内の豚肉供給不足を背景に、21年4月以降豚肉の輸入関税を引き下げたことから同2.6倍となった。なお、この関税引き下げは22年1月までの実施が予定されている。コロンビア向けは、コロナ禍で大きく落ち込んだ前年からの回復により同2.1倍となった。
 USDAは、21年第3四半期の豚肉輸出量について前年同期をわずかに下回る一方、第4四半期は前年同期比5%増と見込んでおり、通年では前年比1.8%増と過去最高を更新すると予測している(8月時点)。




(調査情報部 河村 侑紀)