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海外の需給動向【牛乳・乳製品/NZ】 畜産の情報  2021年10月号

7月の生乳生産量は前年比増、8カ月連続で前年同月を上回る

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7月の生乳生産量は、前年同月比6.6%増
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2021年7月の生乳生産量は30万5000トン(前年同月比6.6%増)とかなりの程度増加し、20年12月以降、8カ月連続で前年同月を上回った(図27)。冬期(6〜8月)の間、酪農主産地である北島では好天に恵まれ放牧環境が良好であったことに加え、南島では6月中旬にカンタベリー地方において洪水が発生したものの、洪水が起こる前は乾燥傾向にあったため、雨が牧草の生育を助長したとみられている。現地報道によると、今冬の温暖な気候により、秋期(3〜5月)に分娩を終えた牛群が良好な環境を享受したことで、これらの牛群の生産量が平均を上回ったことが増産に寄与したとされている。

 
7月のチーズ輸出は大幅に増加、粉乳輸出も引き続き好調
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2021年7月の乳製品主要4品目の輸出量は、バターおよびバターオイルが前年同月を下回る一方、脱脂粉乳、全粉乳、チーズは前年同月を上回った(表15、図28)。



 
 脱脂粉乳については、2万2382トン(前年同月比5.9%増)とやや増加し、3カ月連続で前年同月を上回った。輸出先別では中国向けが同16.4%減と大幅な減少となったものの、マレーシアやフィリピンなど東南アジア向けが大幅に増加した。
 全粉乳は、11万7134トン(同7.2%増)とかなりの程度増加した。中国向けが4万4034トン(同18.7%増)と大幅に増加したほか、アラブ首長国連邦向けなども増加した。
さらに、チーズは、3万6275トン(同30.8%増)と大幅に増加した。韓国や豪州向けは減少したものの、日本向け(同38.5%増)、中国向け(同19.9%増)がそれぞれ大幅に増加した。
 一方、バターおよびバターオイルは、3万1506トン(同9.1%減)と前年同月を下回った。中国向けは同15.1%増とかなり大きく増加したものの、米国、日本向けが大幅に減少したことが影響した。

乳製品国際価格は、全粉乳を除く3品目が前回から上昇
 2021年8月17日に開催されたグローバルデイリートレード(GDT:月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークション。乳製品の国際価格の指標とされる)の乳製品主要4品目の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表16、図29)。前回開催(同年8月3日)時との比較では、脱脂粉乳は前回比1.1%高とわずかに上昇したほか、バターは同4.0%高、チーズは同2.9%高となった。一方、全粉乳は同1.3%安とわずかに下落した。



 
 脱脂粉乳の価格は、前回比1.1%高の1トン当たり3052米ドルであった。中国など北アジア(注)からの旺盛な需要が続く中、市場では8月の同3000米ドル台から2022年3月には同3200米ドル台まで着実に上昇すると予想されている。
 全粉乳は、前回比1.3%安の同3552米ドルと6月以降、前回比で価格の下落が続いている。EU、中東、南米、アフリカからの買いは前回を上回ったものの、北アジアからの買いが前回より弱かったことが影響したとみられている。
 バターは、前回比4.0%高の同4771米ドルであった。北アジアの買いが前回からわずかに増加したほか、アフリカからの買いが大幅に増加し、北アジアに次ぐ2番目の購入量になったとされている。
 チーズは、前回比2.9%高の同4184米ドルとわずかに上昇した。北アジアからの買いが引き続き好調であったことが要因とされている。

(注)ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
 
(調査情報部 廣田 李花子)