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海外の需給動向【飼料穀物/大豆】 畜産の情報  2021年10月号

2021/22年度世界の期末在庫、需要緩和で上方修正

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 国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年8月12日、「Oilseeds:World Markets and Trade」で2021/22年度の世界の大豆需給予測値を、また、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は同日、2021/22年度の世界の主要農作物需給予測値をそれぞれ更新した。
 これによると、2021/22年度の世界の大豆生産量は前回から159万トン下方修正されたが、3億8363万トン(前年度比5.6%増)と前年度に続く記録的な水準が見込まれている(表19)。最大の生産国であるブラジルが過去最大とされるほか、主要生産国の米国やアルゼンチンも前年度を上回ると見込まれている。
 輸出量は前回からわずかに下方修正されたが、1億7233万トン(同4.5%増)と前年度をやや上回ると見込まれている。最大の輸出国であるブラジルは、作付面積の拡大などに伴う生産増を背景に9300万トン(同12.7%増)と前年度をかなり大きく上回る一方、米国は、前年度からの繰越在庫量が少ないことや国内需要が強いことから5593万トン(同9.1%減)と前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。
 輸入量は前回からわずかに下方修正されたが、1億7061万トン(同3.6%増)と前年度をやや上回ると見込まれている。最大の輸入国である中国は、前回から100万トン下方修正の1億100万トン(同4.1%増)とされた。中国は、国内でのアフリカ豚熱発生後、減少した豚飼養頭数の回復に歩調を合わせる形で世界の大豆貿易をけん引してきた。しかし、豚飼養頭数の増加が豚肉価格の下落を招いたことで、養豚生産に一定の抑制が生じ飼料需要は落ち着きを見せている。
 消費量(搾油仕向け)は、前回より247万トン下方修正の3億2957万トン(同3.3%増)と見込まれている。最大の消費国である中国は前回から200万トン下方修正された。
期末在庫は、前回より166万トン上方修正の9615万トン(同3.6%増)とされ、2015/16年度以来の低水準となった2020/21年度からの回復が見込まれている。


中国、2021/22年度の輸入量は1億トン超と予測
 中国農業農村部は8月12日、「2021年8月中国農産物需給状況分析」を公表した。この中で大豆について、2020/21年(10月〜翌9月)の輸入量は9860万トンと前月分析から184万トン下方修正された。 また、消費量(搾油仕向け)は養豚など飼料需要の減少を要因に9500万トンと前月分析から300万トン下方修正された。また、2021年の中国の大豆輸入価格(CIF価格)について、国際相場が高止まり傾向にある中で、海上輸送費の高騰から1トン当たり4100〜4300元(7万684〜7万4132円:1元=17.24円)と前月分析から同300元(5172円)上方修正された。一方、国産大豆の平均卸売価格については、1トン当たり5800〜6000元(9万9992〜10万3440円)と前月分析から変更はなく、輸入と国産との価格差は縮小している。
 中国政府系機関の国家糧油情報センターは8月5日、「油脂市場の需給状況に関する月報」を公表し、2021/22年度の中国の大豆供給量を1億2040万トンと予測し、うち1840万トンが国産大豆、1億200万トンが輸入大豆であるとした。また、消費量(搾油仕向け)は1億150万トン(前年度比300万トン増)と予測し、うち160万トンが国産大豆、9990万トンが輸入大豆であるとした。そのほか食用等向けとして1738万トンの消費を見込んでいる。引き続き輸入量は増加傾向を示し、世界の大豆需給に与える影響が高まっている。

(調査情報部 横田 徹)