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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2021年11月号

生乳生産は堅調に推移、令和3年度の輸入枠数量を見直し

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8月の生乳生産量、前年同月比3.4%増
 令和3年8月の生乳生産量は全国で62万8214トン(前年同月比3.4%増)となった。乳用牛の飼養頭数が増加している中、特に同月中旬に気温の低い日が続いたことから、2年連続で前年同月を上回った。本年の生乳生産量を月ごとに見ると、2月を除き前年を上回って推移している(図15)。また、地域別に見ても、8月は北海道が36万718トン(同2.8%増)、都府県が26万7496トン(同4.3%増)と、いずれも前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
 

 また、2年8月の用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは、昨年度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により全国一斉休校で夏休みが短縮されたことへの反動で今年同月の学校給食用向けが減少している中、全体としては32万9631トン(同4.5%減)と前年同月をやや下回った形となった。一方、乳製品向けは、29万4397トン(同13.9%増)と前年同月をかなり大きく上回った。チーズ向けと脱脂粉乳・バター等向けがそれぞれ同8.8%増、同22.2%増と前年同月を上回ったほか、クリーム向けが同7.9%増と前年同月をかなりの程度上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。

令和3年度の生乳生産量は、前年度比2.3%増の見込み
 一般社団法人Jミルクは10月1日、「2021年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」を公表した。これによると、令和3年度の生乳生産量は760万6000トン(前年度比2.3%増)と、3年連続の増加を見込んでいる。地域別に見ると、北海道では428万5000トン(同3.0%増)、都府県では332万1000トン(同1.4%増)としている(表1)。
 

  生乳の用途別処理量については、特に脱脂粉乳・バター等向けが184万1000トン(同8.6%増)でかなりの程度増加する見込みである。同時に、バターについては、業務用需要の落ち込みから、年度末在庫量は4万3400トン(同11.7%増)と高水準が見込まれ、また脱脂粉乳の在庫についても、現在の高い水準が維持され、年度末には10万5400トン(同29.8%増)となる見通しとなっている。

令和3年度の乳製品輸入枠数量、内訳を見直し
 以上のようなJミルクの需給見通しなどを踏まえ、農林水産省は10月1日、令和3年度の指定乳製品等の輸入枠数量の検証結果を発表した。脱脂粉乳およびバターの十分な国内在庫量を踏まえ、輸入枠数量全体は据え置くとともに、脱脂粉乳については日米貿易協定に基づく750トンを据え置いた一方で、ホエイ、バターオイルおよびバターについては数量を見直した。このうち相対的に需要が見込まれるバターについては年末に向けて需要期を迎えることもあり9500トンとなった。
(酪農乳業部 古角 太進)