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海外の需給動向【飼料穀物/ブラジル】 畜産の情報  2021年11月号

2020/21年度トウモロコシ生産量、2017/18年度以来の低水準となる見込み

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は9月9日、2020/21年度第12回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表17、図24、25)。この調査は、春まきの夏作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋まきの冬作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測値を毎月公表するものである。

(注)今回の発表では、2020/21年度のブラジルの大豆需給動向に関するデータは掲載されていない。

トウモロコシ生産量、5カ月連続の下方修正で前年度から大幅な減少
 2020/21年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回公表から90万1100トン減と5カ月連続で下方修正(4月予測値から合計で2321万6600トン減少)され、前年度比16.4%減の8574万9000トンと前年度を大幅に下回り、2017/18年度以来の低水準になると見込まれている。国内外からの強い需要と堅調な市場価格を背景に全体の作付面積は同7.2%増とかなりの程度上回ったものの、第2、第3期作を中心に不規則な天候の影響で単収が同22.1%減の1ヘクタール当たり4.3トンと大幅に減少したためである。
 生産量全体の約3割を占める第1期作は6月に収穫が終了しており、生産量は同3.7%減の2474万4200トンと前年度をやや下回ると見込まれている。
 約7割を占める第2期作は、6月以降収穫が行われ最終段階を迎えている。生産量は、前回に続き下方修正され、同20.8%減の5947万1500トンと前年度を大幅に下回ると見込まれている。これは、作付面積が同8.6%増と前年度をかなりの程度上回ったものの、主要生産地での生育期の干ばつによる降水量不足、中南部での霜や低温などの影響により単収が同27.0%減の1ヘクタール当たり4.0トンと大幅に下回ったためである。地域別では、南東部のミナスジェライス州(同63.9%減)、サンパウロ州(同38.8%減)や南部のパラナ州(同43.1%減)で生産量の落ち込みが大きい。なお、最も生産への影響を受けた地域の生産者は当初の売買契約の履行が困難となり、こうした地域では契約の見直しに向けた再交渉が行われているとされている。
 また、生産量全体の2%程度を占める第3期作は、主要生産地の北東部で生育段階にある。生産量は、今回4カ月ぶりに上方修正されたものの、同16.8%減の153万3300トンと前年度を大幅に下回ると見込まれている。作付面積は、生産コストの大幅な上昇があるものの堅調な市場価格を背景として同9.2%増と前年度を上回った。しかしながら、主要生産地である北東部のセルジッペ州では土壌中の水分不足、バイーア州では5月の干ばつなどの影響により、いずれも単収が前年度から3割程度下回るなど全体でも同20.7%減の1ヘクタール当たり2.6トンと前年度を大幅に下回っている。

大豆生産量は前年度に続き過去最大の見込み
 2020/21年度の大豆生産はすでに収穫を終えているが、生産量は前回より6万6000トン増とわずかに上方修正され、前年度比8.9%増の1億3591万2300トンと前年度の記録を更新し過去最大になると見込まれている。これは、米ドルに対するレアル安や国際価格の上昇を背景に生産者の増産意欲が強く作付面積が増加(同4.3%増)するとともに、収穫期の悪天候により品質への影響があったものの単収も同4.4%増の1ヘクタール当たり3.5トンと前年度の実績を上回ったためである。

 
 



 
2021/22年度のトウモロコシ、大豆生産量、いずれも過去最大を予測
 CONABは8月26日、第1回目となる2021/22年度の主要穀物の市場予測を公表した。これによると、トウモロコシの生産量は、前年度比33.8%増の1億1590万トンと過去最大と見込まれている。作付面積は、前年度の生産減に伴う供給量の減少やトウモロコシ価格の高騰のため生産者の作付け意欲が強く、同3.9%増の2060万ヘクタールとされた。また、単収も前年度の落ち込みから大きく回復(同28.8%増)するとされている。なお、作付けは、第1期作においては大豆と競合することから、第2期作を中心に増加するとされている。
 また、大豆の生産量は、同3.6%増の1億4130万トンと前年度に続く記録の更新が見込まれている。世界的な消費量の増加が見込まれるとともに国際価格が非常に高い水準であることから生産者の作付け意欲が強く、作付面積は同3.6%増の3990万ヘクタールになるとされている。
 
(調査情報部 井田 俊二)