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調査・報告 畜産の情報  2021年12月号

人材コンサルタントを活用した酪農ヘルパーの採用および定着の促進を図るための取り組み

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一般社団法人酪農ヘルパー全国協会 事務局長 岡本 尚之
酪農乳業部 酪農振興課 田中 緑、池田 秀俊

【要約】

 酪農ヘルパーは慢性的に人材が不足しており、酪農家の利用要望に応えるためにも人材の確保および定着の促進を図ることが急務である。
 そこで、一般社団法人酪農ヘルパー全国協会は、人材確保や育成についての専門知識を有したコンサルタントの助言を受け、酪農ヘルパー利用組合で人材確保などを図るための取り組みを行ったので、その事例を紹介する。

1 はじめに

 わが国の酪農において多数を占める家族型経営にとって、病気・けが、冠婚葬祭、育児、旅行などで休暇を取りたい時に、経営主やその家族に代わって飼養管理作業を担う酪農ヘルパーは、頼もしい存在であると同時に、経営継続のためのインフラとして重要な役割を担っている。一般社団法人酪農ヘルパー全国協会(以下「全国協会」という)では、全国の酪農ヘルパー利用組合(以下「利用組合」という)に対して毎年度「酪農ヘルパー利用実態調査」(以下「実態調査」という)を実施し、その結果を公表している。本調査の酪農ヘルパー利用農家1戸当たりの年間平均利用日数の推移を見ると、調査を開始した平成7年度においては11.8日であったが、令和元年度においては23.6日となっており、24年間で倍増している。このことから、酪農家の間で酪農ヘルパーの利用が着実に浸透・定着し、また、酪農家が休暇を取るために重要な役割を担っていることがうかがえる。一方、専任酪農ヘルパー(注1)数(以下「要員数」という)は平成17年8月の1291名をピークとして徐々に減少し、令和2年8月時点においては1024名となっている。酪農ヘルパーの年間利用日数は増加している一方で要員数は減少しているため、地域によっては、酪農家が希望通りに酪農ヘルパーを活用できない状況が散見されており、酪農ヘルパーの人材の確保と定着の促進を図ることが急務となっている。
 このような状況を踏まえ、全国協会では、元年度より酪農経営支援総合対策事業(酪農経営安定化支援ヘルパー事業)を活用し、人材の確保や育成についてのコンサルティングの経験豊富な株式会社船井総合研究所(以下「船井総研」という)に委託し、利用組合が抱える酪農ヘルパー人材確保、特に採用および定着に関する課題の整理を行い、課題解決案の検討および課題解決に向けた取り組みを実施したのでその成果を報告する。

(注1)利用組合と常用的な雇用関係にある酪農ヘルパー。

2 酪農ヘルパーの採用および定着に関する課題

 まず、船井総研は全国の利用組合が抱える採用と定着に関する課題を把握するため、全国協会が平成29、30年度に利用組合や専任酪農ヘルパーを対象に実施したアンケート調査や、令和2年度に実施した実態調査などの結果を基に分析を行った。これによると、令和2年8月時点において、全国の270利用組合のうち約3割に当たる82利用組合が必要な要員数を充足できていない(表1)。利用組合への参加酪農家戸数別の要員不足の状況を見ると、参加戸数49戸以下の利用組合ではその約2割が不足と回答しているのに対し、参加戸数50戸以上の利用組合では約6割が不足と回答しており、参加戸数の多い利用組合ほど要員不足が深刻で、酪農家の酪農ヘルパー利用への需要に応えきれていないと推測された。
 また、退職した専任酪農ヘルパーの勤続年数を見ると、平成26年度〜令和元年度の6年間で退職した専任酪農ヘルパー1059名のうち約半数に当たる504名が就業後3年未満で離職していることが判明した(表2)。
 このように、採用した若手の専任酪農ヘルパーが定着することなく退職してしまうという状況が要員不足の原因となっていることが推測された。そして、若手の専任酪農ヘルパーの離職の原因は、酪農ヘルパー同士や事務局とのコミュニケーション不足による、出役(注2)のシフト調整や作業ごとの労働負担と対価のバランスに関する不満や、研修後の先輩酪農ヘルパーとのOJTの有無などが挙げられた。このことから、離職の原因をさらに分析して若手の専任酪農ヘルパーの離職者数を減らし、定着を促進しつつ、必要な新規採用を適切に実施していくことを人材確保の課題として設定した。
 これらの分析結果を踏まえ、全国協会では人材確保に向けたコンサルティングを試験的に実施する対象利用組合を選定し、具体化した課題の解決策の提案や実行支援を行った。今回は対象利用組合のうち酪農とちぎ農業協同組合におけるコンサルティングの事例を振り返ってみたい。

(注2)酪農ヘルパーが酪農家に出向き、搾乳などの作業を代行すること。
 


3 酪農とちぎ農業協同組合の紹介

 酪農とちぎ農業協同組合は、栃木県全域を事業区域とする酪農専門農協で、県下の6酪農業協同組合の合併により平成13年8月1日に発足し、令和3年に設立20周年を迎えた。栃木県の生乳生産量は都府県においては最も多く、同農協の生乳出荷者は370戸(3年1月時点)、2年度の受託乳量は23万6687トンであり、県内酪農家の7割以上(受託乳量ベース)が組合員として加入している(図1)。
 同農協の酪農ヘルパー事業は、営農指導事業の一環として実施されており、利用組合としての事務局は同農協の業務部が担っている。3年8月1日現在の事業の参加戸数は245戸(注3)、専任酪農ヘルパーは13名である(表3)。出役の範囲は県下のほぼ全域に及ぶが、酪農家が集中している県北部の那須高原支所管内(以下「県北地域」という)と県の中・南部の宇都宮支所および県南支所管内(以下「県南地域」という)の二つの地域に分け、酪農家からの利用申込や出役する酪農ヘルパーの出役調整は原則として地域ごとに行われている。

(注3)同農協の組合員(生乳出荷者)のうち酪農ヘルパーの利用を希望する者が参加している。
 


 

4 採用および定着の促進を図るための解決策の提案およびその実証

 船井総研は、同農協における酪農ヘルパーの採用や定着に関する課題を把握するため、全国協会とともに複数回の聞き取り調査などを行った。その結果、課題は大きく分けて次の三つであると分析し、課題ごとに解決策の提案および実証を行った。

(1)採用体制の確立

 船井総研の調査によると、企業などの一般的な採用活動においては、応募の約85%がウェブサイトを通して行われている。一方、同農協の過去の採用活動は、関係者からの紹介、県立農業大学校を通じたものに限られており、応募者数が少ないことで、採用に苦労をしていた。また、限られた応募者から確実に必要人数を採用する必要があったため、応募者とのコミュニケーションや酪農ヘルパーとして活躍していくための意思や適性確認といった選考が十分ではなかったという。
 この状況を解消するため、採用体制を確立し、酪農ヘルパーに興味がある求職者に広く求人情報を提供することが重要であると分析した。具体的には、未経験者を含む多くの求職者に情報を発信できるウェブサイトによる採用を行うことを提案した。
 一般的に、ウェブサイトによる採用活動は、求人情報サイトによるものと個別企業などの独自の求人サイトによるものの2パターンがある。前者は掲載費用が必要であり、デザインや内容の項目に一定の制約がある。一方、後者は、前者に比べ作成・維持に要する費用を抑えることができ、デザインや内容についても自由度が高い特徴がある。今回、同農協では、認知度が高いとは言えない酪農ヘルパーという職業を知ってもらい、未経験者など新たな求職者からの応募を開拓するために、酪農ヘルパーの業務紹介やインタビュー記事などを掲載した独自の求人サイトを作成することとなった(図2)。
 同農協が作成した求人サイトには公開後1カ月で約1500件の閲覧があり、問い合わせが28件あった。今回のサイト作成においては、酪農ヘルパーに興味がある求職者に広く求人情報を届けるために、求人検索サービスへ登録した。また、そのサイト上で、「酪農」「酪農ヘルパー」「栃木県」といったキーワードで検索した際に同農協の求人サイトが上位に表示されるようにするなど工夫し、予想以上の閲覧数となった。船井総研によると、一般的に、独自の求人サイトでの閲覧から問い合わせに至る割合は0.5%程度だが、今回の同農協の求人サイトにおいてはその割合が約1.8%と極めて高水準であった。コロナ禍で求職需要が高まっていたとはいえ、適切な情報発信を行えば酪農ヘルパーの求人に対する関心が高まることが示唆された。
 最終的に、公開から約8カ月間で同農協には49件の求人の問い合わせがあり、その後14名の応募から、面接などを経て2名の採用につなげることができた。多数の応募があることで、複数の応募者から書類審査や面接などを行い、一緒に働きたいと思える人材を採用することができるのも大きなメリットとなっている。
 また、応募自体をウェブサイトやメールで行うことで、応募者と事務局がお互いに連絡を取りやすくなり、応募から面接、採用までの期間が従来の書面や電話で行う場合に比べ短縮し、スムーズに行うことができるといったメリットが得られた。
 予想以上に応募者数が多かったことから、同農協の事務局では一時的に担当者の業務負担が増えたものの、ウェブサイト上でやり取りすることから業務の空き時間などで対応することもでき、通常業務に支障はなかったという。今回の経験を踏まえ、今後の採用活動についても求人サイトを活用していきたいとのことであった。
 
 

(2)各種手当の支給基準の見直し

 同農協の専任酪農ヘルパーに支給される給与は、基本給、出役日数により支払われる出役手当、作業内容に応じて支払われる管理手当などにより構成されていた。この給与体系の場合、基本給は経験年数に、出役手当は出役日数に、管理手当は作業内容と乳牛飼養頭数にそれぞれ左右される。給与の約半分を占める管理手当については、搾乳、給餌およびふん出しなど作業別に1頭当たりの単価が設定されている(表4)。しかし、例えば同じ搾乳作業であっても、労働負担の大きなバケット搾乳と労働負担の小さいパーラー搾乳で手当の単価が同一であったことから、作業別の手当の単価が労働負担に対応していないと分析した。このため、乳牛飼養頭数が多く、機械化が進んだ大規模酪農家に出役した場合は労働負担が小さくかつ手当が高い一方、小規模で機械化が進んでいない酪農家に出役すると労働負担が大きい上に支給される手当が少ない状況となっていた。実質的な労働負担と支給される手当のバランスが取れていないことが、酪農ヘルパーの間で不満につながっており、離職の原因の一つとなっていたことから、これを解消することを課題とした。
 課題の解消のため、総人件費の増加に配慮しつつ、経験年数にかかわらず労働負担の大きい業務に従事した酪農ヘルパーの手当が高くなるように、給与体系の見直しを提案した(表5)。
 



 具体的には、労働負担に対して手当が低いと考えられるバケット搾乳、サイロ出し(注4)、ふん出しの単価を増額し、労働負担に対して手当が高いと考えられる給餌の単価を減額することを提案した。給餌の単価を減額した理由は、総人件費の増加を抑制し、同農協の酪農ヘルパー事業の収入と支出のバランスを取るためである。管理手当の単価変更による総人件費を試算したところ約40万円の増加が見込まれるが、同農協の全体の収支には大きな影響はないと考えられた。また、同農協では作業別に酪農家から利用料金を徴収しており、利用料金と管理手当を連動させることも収入と支出のバランスを維持するための一つの方法である。
 管理手当の単価の変更を事務局で検討したところ、管理手当の単価を減額することで、酪農ヘルパーの出役の状況によっては給与が減少し、不利益を伴う者から不満が出てくることが懸念された。このため、給餌の単価の減額やサイロ出し、ふん出しの単価の増額は行わず、令和4年1月から労働負担が最も大きいバケット搾乳の単価を1頭当たり80円から同160円に倍増することを予定している。また、同農協においては2年4月に、生産者が支払う利用料金の引き上げを行ったことによる収入増加で、他の作業の手当の引き下げを行わなくても管理手当の増額に伴う人件費の支出増加を吸収することができる見通しが立った。今回は、バケット搾乳の手当の見直しのみとなったが、従来に比べ労働負担に応じて手当が支給される給与体系に改善されたことで、不満が解消することが期待される。

(注4)サイロから飼料給餌機械まで飼料を運搬する作業。


(3)出役スケジュール決定方法の変更

 同農協では、酪農家からの利用希望の取りまとめや酪農ヘルパーの出役調整は県北地域と県南地域の地域ごとに行われていた。このため、両地域間で酪農ヘルパーの利用状況などの情報共有ができておらず、例えば県北地域内で派遣できる酪農ヘルパーの人数を超える酪農家からの利用希望があった場合、県南地域の酪農ヘルパーが県北地域に出役するといった対応をとることが少なかった。このため地域によって酪農ヘルパーの稼働率や労働時間に偏りが生じたり、出役調整を行う事務局の事務負担が増えるといったことに苦労していたという。
 また、酪農家の傷病時に、急を要する酪農ヘルパーの利用希望があり、その際の酪農ヘルパーの出役先変更の連絡などは電話により行われていたため、電話連絡の行き違いによる酪農ヘルパーの出役先の間違いなどのトラブルが発生していた。
 これらの問題の多くは、出役のスケジュールの連絡方法が電話や書面が中心となっており、事務局と酪農ヘルパーとの間のリアルタイムでの情報共有ができていないことが原因と考えられ、この問題を解消することが課題であった。そこで事務局の出役調整の事務負担の軽減を図りつつ、出役スケジュールの「見える化」を実現するために、出役スケジュールの管理ツールの導入を提案した。
 まず、出役スケジュールの管理ツールとして、飲食店のシフト管理システムなどの既存のシステムを含めさまざまなシステムの提案を行った。メリット・デメリットを比較した結果、従来事務局が利用していた表計算ソフトと類似のスプレッドシートという機能をクラウド上で使えるだけでなく、メールやカレンダーといった機能と連携することもできるアプリケーションを採用することになった(図3)。このアプリケーションのスプレッドシートは、事務局担当者が構築・改変できるため、従来酪農家へ配布するために表計算ソフトで作成していた予定表の様式をそのまま維持できることも決め手となった。
 アプリケーションの導入により、県北・県南地域の事務局は同じスプレッドシートを同時に使用し、それぞれの事務局が酪農家の利用希望および酪農ヘルパーの休み希望を入力することで、双方の事務局が互いの状況を共有することができるようになった。このため、一方の出役が集中した際に、より円滑に地域をまたいだ出役を行うことができるようになった。
 また、酪農ヘルパー個人とひも付いているメールやカレンダーとの連携により、リアルタイムで出役先の酪農家を確認できるようになった。これにより、酪農家の傷病時など急な利用要望の変更があった場合でも、事務局がスプレッドシートを操作することで、酪農ヘルパー自身のカレンダーが自動的に変更され、出役先を間違えることを未然に防止できるようになっている(図4)。
 


5 実証結果を踏まえた今後の課題など

 前項で述べた三つの項目において船井総研からの提案をもとに実証を行ったところ、効果が確認できた一方で、次のような課題も見えてきた。

(1)採用体制の確立

 従来の酪農経験者を中心とした採用では少数の応募者しかいなかったことから、面接などについても事務局側の負担はあまりなかったが、求人サイト上に求人情報を公開し、全国の求職者に閲覧してもらうことで、従来に比べると応募者数が大幅に増加した。事務局の担当者は、酪農ヘルパーの求人に対する潜在的な需要の大きさに驚くと同時に、今後は多数の応募者の中から酪農ヘルパーとしての適性を見極め、履歴書や適性検査、面接などを通じて求める人材を選抜し、採用するスキルを向上させることが求められるだろうと話す。
 また、酪農ヘルパーという職業は一般的な酪農家に就業する場合と異なり、毎日異なる酪農家に出役し、さまざまな形態の酪農家で作業するといった特殊な就業形態を取っている。同農協が専任酪農ヘルパーとして新たに採用した酪農業の就業経験のある者は、酪農ヘルパーとしての作業に対する懸念はなかったが、特殊な就業形態に慣れるまでに多くの時間を要したと話す。ましてや、酪農未経験者にとって、想像の業務と実際の業務にミスマッチが生じ、短期間で離職することが懸念される。今回の募集では、同農協や船井総研が予想した以上に若年層の酪農未経験者からの応募があり、その中には「動物が好きで、動物と触れ合える仕事に興味がある」などといった、酪農ヘルパーの実際の業務内容を理解していない声もあったという。酪農未経験者のうち希望者に対し、現地説明会として酪農家での見学を行うことや、当初は臨時酪農ヘルパーとして採用し適性を見極めてから専任酪農ヘルパーとして採用するなどの工夫を行うことで、酪農未経験者からも採用することができた。今後は、採用だけでなくその後の定着にもつなげるために、採用前に一定期間インターンシップを行うなど業務内容を理解する機会を充実させ、酪農未経験者が持つ酪農ヘルパーの業務のイメージと実態のギャップを埋めていくことが必要と考えられる。

(2)各種手当の支給基準の見直し

 今回の手当の増額をきっかけに、酪農ヘルパーからは、「子牛の哺乳手当を追加してほしい」などの新たな要望が挙がったことから、今後も管理手当については随時見直しの検討を続けていくとのことである。さらなる管理手当の見直しにおいては、長期的な視点をもって同農協の収入と支出のバランスを保つことが重要となり、利用料金を負担する酪農家も含めた関係者との協議が重要となるだろう。

(3)出役スケジュール決定方法の変更

 今後は酪農家の減少、高齢化がさらに進行する可能性があり、地域ごとに出役を管理する方法では酪農ヘルパーの稼働率が低下し、収益の維持が難しくなってくることが予測される。同農協では過去に組織統合した経緯もあり、地域により出役のカウントが朝夕セット(朝と夕方の2回の出役で1日とカウント)、夕朝セット(夕方と翌朝の2回の出役で1日とカウント)が混在しているなど細かな部分に差異が生じており、地域制の撤廃に当たっては大きな課題となっている。現状は地域制の撤廃を見通しながら、まずは、県北地域・県南地域の地域制を徐々に緩和し、地域をまたいだ出役回数を増やすことで酪農ヘルパーの稼働率の向上をさらに推進していくことが必要とみている。また、地域制の緩和に当たっては、地域ごとの出役に関する取り扱いの細かな差異をなくすなど、酪農家の理解を求めていくことも必要になる。

6 まとめ

 最後に、今回の取り組みにおいて、酪農とちぎ農業協同組合の採用および定着に関する課題が明らかになり、一部については解決策の実証にまでつなげることができた。全国の利用組合においても、同様の課題を抱えているのではないだろうか。酪農ヘルパー事業を取り巻く環境は、酪農家戸数の減少や要員数の減少など、事業を維持する上で厳しい現実に直面している。今回は、コンサルタントの助言を得て課題の解決を行い、新たな視点から改善が図られた事例である。全国の各利用組合においては、酪農家、利用組合事務局職員、酪農ヘルパーなどの利用組合関係者だけではなく行政などを含む関係者がアイデアを持ち寄り十分に協議して課題を特定し、解決していく必要があるだろう。本稿で報告した取り組み事例がその検討の一助となれば幸いである。


謝 辞
 本稿の作成に当たり、今回の取材に快くご対応いただいた酪農とちぎ農業協同組合 業務部長 渡辺祐一様ほか業務部の皆様およびコンサルティングを行った株式会社船井総合研究所の井上晴見様ほかコンサルタントの皆様に多大なご協力を賜りました。この場を借りて感謝の意を申し上げます。