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国内の需給動向【令和3年度上半期の食肉需給】 畜産の情報 2021年12月号

令和3年度上半期の食肉需給

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 令和3年度上半期(4〜9月)の食肉の畜種別の需給動向は以下の通り。

1 牛 肉

生産量、和牛は増加するも乳牛・交雑牛は減少
 令和3年度上半期(4〜9月)の牛肉生産量は、和牛は増加したものの、乳牛および交雑牛が減少したことから、16万2994トン(前年同期比0.4%減)と前年同期をわずかに下回った(図1)。
 和牛は、繁殖雌牛の増頭や受精卵移植による和子牛の生産拡大などにより、7万7722トン(同0.4%増)と前年同期をわずかに上回った。一方、乳牛および交雑牛は、性判別精液の活用や上述の和子牛の生産拡大により、乳牛は4万2614トン(同1.7%減)、交雑牛は3万9959トン(同0.8%減)と、ともに前年同期をわずかに下回った。
 

輸入量、冷蔵品は増加するも冷凍品は減少
 上半期の牛肉輸入量は、冷蔵品は増加したものの、冷凍品が減少したことから、31万3479トン(前年同期比0.1%減)と前年同期並みとなった(図2)。
 主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、14万4605トン(同11.0%増)と前年同期をかなり大きく上回った。このうち輸入量の多い米国産は全体の52%、豪州産は同37%を占めた。米国産は、前年同期の輸入量がCOVID-19の拡大に伴う現地工場の操業停止の影響などにより少なかったことから、7万5539トン(同22.3%増)と前年同期を大幅に上回った。一方、豪州産は、干ばつ後の牛群再構築による生産の減少に伴う現地相場の高騰などにより、5万3011トン(同7.9%減)と前年同期をかなりの程度下回った。
 主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品は、16万8780トン(同8.0%減)と前年同期をかなりの程度下回った。このうち輸入量の多い豪州産は全体の43%、米国産は同29%を占めた。豪州産は、冷蔵品と同様の理由から7万1927トン(同8.6%減)とかなりの程度、米国産は、前年同期の輸入量が不足していた冷蔵品を補う動きなどで多かったことから、4万9637トン(同31.1%減)と大幅に、いずれも前年同期を下回った。
 

推定出回り量、国産品・輸入品ともに減少
 上半期の牛肉推定出回り量は、東京都などへの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用が長期化したことによる外食需要の減少などにより、44万7189トン(前年同期比4.0%減)と前年同期をやや下回った(図3)。このうち、国産品は、15万7258トン(同2.5%減)とわずかに、輸入品は28万9931トン(同4.9%減)とやや、いずれも前年同期を下回った。
 上半期末(9月末)の牛肉推定期末在庫は14万2769トン(前年同月比5.0%増)と前年同月をやや上回った。このうち、輸入品は12万8479トン(同2.6%増)とわずかに、国産品は1万4290トン(同33.1%増)と大幅に、いずれも前年同月を上回った。
 

2 豚 肉

生産量、わずかに増加
 令和3年度上半期(4〜9月)の豚肉生産量は、と畜頭数および枝肉重量が増加したことから、44万4844トン(前年同期比1.5%増)と前年同期をわずかに上回った(図4)。
 

輸入量、冷蔵品は増加するも冷凍品は減少
 上半期の豚肉輸入量は、冷凍品は減少したものの、冷蔵品が増加したことから、47万2022トン(前年同期比0.5%増)と前年同期をわずかに上回った(図5)。
 主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、前年同期の輸入量がCOVID-19の拡大に伴う北米の現地工場の操業停止の影響などにより少なかったことに加え、内食需要が堅調だったことから、21万5493トン(同6.9%増)と前年同期をかなりの程度上回った。このうち輸入量の多い米国産は全体の49%、カナダ産は同47%を占め、米国産は10万5598トン(同10.3%増)とかなりの程度、カナダ産は10万747トン(同4.1%増)とやや、いずれも前年同期を上回った。
 主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品は、外食需要の減少に加え、北米の国内需要の増加による現地相場の高騰などから、25万6520トン(同4.4%減)と前年同期をやや下回った。このうち輸入量が多いスペイン産は全体の24%、メキシコ産は20%、デンマーク産は17%を占めた。国別に見ると、スペイン産(6万1027トン、同0.9%増)、メキシコ産(5万1635トン、同9.3%増)、デンマーク産(4万4344トン、同12.2%増)などは増加したものの、米国産(2万3997トン、同17.5%減)、カナダ産(1万8222トン、同4.4%減)などが減少した。
 

推定出回り量、国産品・輸入品ともに増加
 上半期の豚肉推定出回り量は、東京都などへの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用が長期化したことにより外食需要は減少したものの、内食需要や総菜などの持ち帰りといった中食需要は堅調だったことから、91万747トン(前年同期比0.7%増)と前年同期をわずかに上回った(図6)。このうち、国産品は44万6336トン(同0.8%増)、輸入品は46万4411トン(同0.6%増)と、ともに前年同期をわずかに上回った。
 上半期末(9月末)の豚肉推定期末在庫は18万7419トン(前年同月比12.0%減)と前年同月をかなり大きく下回った。このうち、輸入品は16万5491トン(同14.4%減)と前年同月をかなり大きく下回った一方、国産品は2万1928トン(同11.4%増)と前年同月をかなり大きく上回った。
 

3 鶏 肉

生産量、わずかに増加
 令和3年度上半期(4〜9月)の鶏肉生産量は、近年の好調な鶏肉消費を背景に、生産者の増産意欲が引き続き高かったことから、82万7224トン(前年同期比1.6%増)と前年同期をわずかに上回った(図7)。
 

輸入量、ブラジル産は減少するも、タイ産は増加
 上半期の鶏肉輸入量は、前年同期の輸入量が輸入品の国内在庫が高水準で推移していたことなどにより少なかったことに加え、内食需要や中食需要が堅調だったことから、27万6076トン(前年同期比3.5%増)と前年同期をやや上回った(図8)。このうち輸入量が多いブラジル産は全体の71%、タイ産は同26%を占め、ブラジル産は、19万5278トン(同4.0%減)と前年同期をやや下回った一方、タイ産は、7万1316トン(同27.1%増)と前年同期を大幅に上回った。
 

推定出回り量、国産品・輸入品ともに増加
 上半期の鶏肉推定出回り量は、東京都などへの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用が長期化したことにより外食需要は減少したものの、内食需要や空揚げなどの持ち帰りといった中食需要は堅調だったことから、112万5745トン(前年同期比3.7%増)と前年同期をやや上回った(図9)。このうち、主に家計消費用に仕向けられる国産品は82万2231トン(同0.5%増)とわずかに、大部分が加工用、外食・中食用に仕向けられる輸入品は30万3514トン(同13.4%増)とかなり大きく、いずれも前年同期を上回った。
 上半期末(9月末)の鶏肉推定期末在庫は14万1357トン(前年同月比15.0%減)と前年同月をかなり大きく下回った。このうち、輸入品は10万7584トン(同22.3%減)と前年同月を大幅に下回った一方で、国産品は3万3773トン(同21.6%増)と前年同月を大幅に上回った。
 
 
(畜産振興部 前田 絵梨)