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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2021年12月号

生乳生産量好調も北海道の道外移出量は4カ月連続で前年同月比減

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全国の生乳生産量、前年同月比4.1%増
 9月の生乳生産量は61万3294トンと前年同月を4.1%上回った。地域別に見ると、北海道は35万1830トン(前年同月比4.2%増)、都府県は26万1464トン(同4.0%増)といずれも前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」、図1)。
 

 用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けが34万5288トン(同2.7%減)と4カ月連続で前年同月を下回った。学校給食用向けが、一部自治体における小中学校の夏休み延長や臨時休校などにより、前年度を下回った。乳製品向けは26万3849トン(同14.6%増)と4カ月連続で前年同月を上回った。うち脱脂粉乳・バター等向けは12万3742トン(同27.2%増)と4カ月連続で前年同月を上回り、生乳需給の調整弁としての仕向けが続いている。また、クリーム向けは5万9083トン(同8.3%増)と7カ月連続で前年同月を上回っている。前年に出された1回目の緊急事態宣言の際の仕向け量急減の反動などにより前年を上回って推移しているとみられる(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」、図2)。
 

上半期の生乳生産量、北海道・都府県いずれも好調
 令和3年度上半期(4〜9月)の全国の生乳生産量は383万4833トン(前年同期比2.6%増)と前年度をわずかに上回った。地域別に見ると、北海道は216万921トン(同2.9%増)、都府県は167万3912トン(同2.2%増)であり、それぞれの月別実績も、4〜9月を通じて前年を上回って推移している。
 ホクレン農業協同組合連合会が公表した生乳受託乳量速報値によると、帯広や中標津、北見などでの生産量は昨年に引き続き増加傾向であり、北海道の生乳生産量の伸びをけん引している。
 都府県においては東北と沖縄がわずかに前年度を下回っているものの、関東を中心に他地域でも増産しており、都府県全体では前年度を上回った。しかしながら、北海道との生乳生産量シェアの差は平成21年度以降拡大が続いており、現在の比率は北海道56:都府県44となっている(農林水産省「牛乳乳製品統計」、図3)。
 

北海道の生乳移出量減少傾向、これに伴い乳製品の在庫量が増大
 9月の生乳の道外移出量は、5万6787トン(前年同月比11.6%減)と、前年をかなり大きく下回った(図4、農林水産省「牛乳乳製品統計」)。この減少は6月から継続しており、生乳の牛乳等向け処理量も同様に6月から前年同月を下回っている。これは、三大都市圏などへ緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が長期にわたって適用されていたことや、天候不順によって飲用需要が落ち込んだことなどによるとみられる。
 なお、これに伴い北海道の生乳は保存の利くバターや脱脂粉乳に多く仕向けられている。直近の在庫量は、バターが前年同月比8.0%増の4万1684トンで、脱脂粉乳は同9.7%増の8万9908トンとなっている。
 
 
(酪農乳業部 古角 太進)