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海外の需給動向【豚肉/中国】 畜産の情報 2021年12月号

と畜頭数は近年にない高水準、 豚肉輸入量は減少

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豚飼養頭数、繁殖雌豚頭数ともに減少に転じる
 中国国家統計局によると、2021年9月末時点の豚総飼養頭数(四半期ごとに公表)は、前回公表時(同年6月)に比べ0.3%減の4億3764万頭、うち繁殖雌豚頭数は同2.3%減の4459万頭となった。アフリカ豚熱の発生により落ち込んだ豚飼養頭数は、その後の急速な飼養頭数の回復により発生前とほぼ同水準に達しており、最近では生体豚価格の下落などからこの勢いに歯止めがかかっているとされている(図1)。
 


2021年の豚と畜頭数と豚肉生産量は高水準で推移
 2021年3月以降、豚と畜頭数は前年同月を上回る水準かつ増加傾向で推移しており、8月は前年同月比97.5%増の2328万5600頭と、単月実績では19年以降で最多頭数を記録している(図2)。例年の夏期は、豚肉需要が減少することから比較的と畜頭数の少ない時期であるものの、飼養頭数の回復などを受けて21年は近年にない高水準となっている。
 豚と畜頭数の増加に合わせて豚肉生産量も伸びている。中国国家統計局によると、2021年1〜9月の豚肉生産量は前年同期比38.1%増の3917万トンとなった(図3)。現地報道によると、大規模生産者を中心に豚肉価格の低下に伴い生体豚の出荷を遅らせているとされ、出荷体重の増加から直近8月の平均と畜重量は104キログラムと、通常のと畜重量に比べ10キログラムも多い状況と報告されており、と畜頭数の増加と相まって、豚肉生産量が増加する状況となっている。





豚肉価格は下落傾向も10月に入り、やや回復
 豚肉供給量が大幅に増加する中、2021年の豚肉価格は2月以降、子豚価格は4月以降、いずれも継続して下落傾向にある。本年9月の豚肉価格は前月比8.6%安の1キログラム当たり23.2元(420円:1元=18.1円(注1))、子豚価格は同21.3%安の同30.5元(552円)となった(図4)。
 


 中央政府は2021年7月、「政府の豚肉備蓄調整メカニズムを改善し、豚肉市場の供給と価格の安定化を図る準備計画」に基づき、3回にわたり合計5万3000トンの豚肉の買い入れおよび保管を実施した(注2)。これに伴い、一時的に豚肉価格は小幅な回復を見せたものの、その後も下落傾向は継続した。このため、中央政府は10月10日、再度3万トンの豚肉の買い入れおよび保管を実施したところ(注3)、同月の国慶節向け需要も相まって豚肉価格は回復に向かっている。中国国家発展改革委員会によると、生体豚価格の回復と8月後半からのトウモロコシ価格の下落により、10月20日現在の豚/穀物比(注4)は5.31:1と、最上位の警戒レベルとなる第1級警報段階から脱したとされている。中国農業農村部によると、気温の低下に伴い冬場に向けた加工肉の需要が高まっていることから、重量のある肥育豚がこれら加工向けに仕向けられ、10月以降の豚肉価格の上昇に寄与しているとされている。
 一方、現地調査会社によると、アフリカ豚熱発生前に比べ、豚肉需要はCOVID-19の影響や食習慣の変化により減少しているとされている。このため、豚肉生産量が大幅に回復している中で、大規模生産者による生産性の低い繁殖母豚を中心とした淘汰とうたの増加、また、輸入在庫の放出(後述)などの要因も重なり、豚肉価格が底を脱するには6〜10カ月程度かかるとし、豚肉価格の本格的な回復は来年の第2四半期以降と分析されている。
 

(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の10月末TTS相場。

(注2)海外情報「豚肉価格下落を受けて国家備蓄のための豚肉の買入・保管を開始(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002983.html)を参照されたい。

(注3)海外情報「豚肉価格低迷で国家備蓄による買入・保管を再度実施(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003064.html)を参照されたい。

(注4)政府による養豚生産者の収益性の指標値。算出方法は、1キログラム当たり生体豚出荷価格/1キログラム当たりトウモロコシ卸売価格。損益分岐点は7:1とされる。
 

豚肉輸入量は減少に転じる
 2021年1〜9月の豚肉輸入量は、前年同期比6.0%減の302万1772トンと減少に転じた(表)。9月単月で見ると前年同月比46.7%減、前月比23.8%減の19万8291トンと大幅に減少している。これを輸入先別に見ると、スペインやオランダ、ブラジルからの輸入量は引き続き大幅増となっているが、豚肉価格が高騰している米国やカナダからの輸入量は大幅に減少している。しかし9月単月で見ると、豚肉価格が下落傾向にある欧州を含め、ほとんどの輸入先からの輸入量は減少している。現地調査会社によると、国産に対し輸入豚肉の価格の優位性が小さくなっていることなどから2021年上半期の輸入豚肉の販売は低調であり、大手輸入企業の在庫量は2カ月分に近いとされている。
 


(調査情報部 海老沼 一出)




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