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海外の需給動向【牛乳・乳製品/アルゼンチン】 畜産の情報 2021年12月号

2021年1〜9月の生乳生産量は前年に続き増加傾向で推移

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生乳生産量は27カ月連続で前年同月を上回る
 アルゼンチン農牧漁業省(MAGyP)によると、2021年1〜9月の生乳生産量は831万3100キロリットル(前年同期比4.0%増)と前年同期をやや上回った(図1)。月別の生乳生産量は、19年7月以降、27カ月連続で前年同月を上回っており、増産傾向が続いている。
 この背景として、生産者は高水準のインフレや飼料価格の上昇といった厳しい経営環境にあるものの、比較的良好な気候の下、少しでも収益を確保するため増産を図っているものとみられている。なお、アルゼンチンでは、安価な牛肉を中心とした中国からの強い牛肉需要を背景に、19年前後に高齢経産牛を中心にと畜が進み、経産牛飼養頭数が減少した。このため、今後も生乳の増産を継続していくためには、一層の牛群再構築が必要とみられている。

 
 近年の生乳生産量を見ると、15年に1206万1000キロリットルを記録したが、その後(16〜19年)は1000万キロリットル台で推移した(図2)。20年は、1111万3200キロリットル(前年比7.5%増)と前年をかなりの程度上回り、直近5年間で最大の生乳生産量となった。これは、良好な天候に恵まれたこと、生産者乳価(ペソ建て)が引き続き上昇傾向で推移したこと、また、国内外の乳製品需要が強いことから生産者の増産意欲が高まったためである。21年は、さらにそれを上回って推移している。
 

全粉乳およびチーズ輸出量は前年に続き増加傾向で推移
 2021年1〜9月の主な乳製品輸出量は、ブラジルをはじめ海外からの需要が強いことや米ドルに対するペソ安により価格競争力が高まったことなどから、おおむね前年同期を上回っている(表)。品目別に見ると、脱脂粉乳を除くすべての品目で前年同期を上回り、最大の輸出産品である全粉乳は、8万8900トン(前年同期比1.9%増)と、大幅に増加した前年に続き増加傾向を維持している。最大の輸出先であるアルジェリア向けが、6万7900トン(同35.1%増)と大幅に増加し全体の76.4%を占めた。このほか、中国向けが少量ながらも2800トン(同4.6倍)と大幅に増加した。チーズの輸出についても3万8700トン(同28.6%増)と前年に続き増加しており、最大の輸出先であるブラジルやこれに続くチリ向けが大幅に増加している。
 2020年の輸出状況を見ると、ホエイを除き前年を上回っており、特に全粉乳は12万6400トン(前年比48.1%増)とアルジェリアやブラジル向けを中心に大幅に増加した。


生産者乳価は上昇するものの、大幅な収益改善には至らず
 MAGyPによると、2021年9月の生産者乳価(ペソ建て)は、前年同月比73.2%高の1リットル当たり33.03ペソ(38円:1米ドル=100ペソ、115円(注))となった(図3)。生産者乳価は、18年ごろから上昇基調で推移している。
 一方、アルゼンチンでは近年、高水準のインフレが続いており、20年は年率36.1%を記録し、21年もこの傾向が続いている。同国政府は、急激な物価上昇やCOVID-19によるさらなる経済環境の悪化に対応するため、国内経済への影響を緩和し国民への物資の安定供給を図ることを目的として価格統制策を講じている。20年3月には、乳製品を含む食料品などの生活必需品の消費者向け販売価格を同月6日時点の店頭価格に凍結するよう義務付ける制度が導入された。その後も生活必需品・食品などに対し相次いで価格統制が講じられているが、十分なインフレ率の抑制に至っていない。このため、経営基盤がぜい 弱な小規模生産者を中心に酪農経営への悪影響が見られ、業界からはこういった政府の施策に対する不満が生じている。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の10月末TTS相場。
 

(調査情報部 井田 俊二)



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