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海外の需給動向【豚肉/米国】  畜産の情報 2021年12月号

8月の豚肉輸出量、 メキシコ向けの増加が中国向けの減少を相殺

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1腹当たりの産子数は過去最高を記録
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)の「Hogs and Pigs」(四半期報告)によると、2021年9月1日時点の豚飼養頭数は、繁殖豚頭数、肥育豚頭数ともに減少したことが影響し、7535万2000頭(前年比3.9%減)となった(表1)。また、6〜8月期の分娩母豚頭数および産子数は減少したものの、1腹当たりの産子数は11.13頭と前年をわずかに上回り、過去最高となった。
 USDAによると、母豚価格が大幅に上昇し、生産者は繁殖豚を導入しにくい状況にあったことから、20年6月以降、繁殖豚の飼養頭数は前年を下回って推移している。一方、22年の豚肉生産に直結する21年12月〜22年2月の分娩母豚頭数は、前年同期比1.4%増と増加に転じるとの見通しであることから、22年第3四半期(7〜9月)の豚肉生産量は前年同期を上回るとみられている。また、USDAは、21年の初めに養豚産業が盛んな中西部の北部の州で豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)が発生していたことなどから1腹当たりの産子数が減少していたものの、生産者によるPRRS対策の結果、生産環境が改善したことから、6〜8月の1腹当たりの産子数は過去最高となった可能性があるとしている。
 豚の飼養頭数を州別に見ると、豚飼養頭数最大のアイオワ州は2440万頭(前年比1.6%減)となった。また、ノースカロライナ州は830万頭(同13.5%減)と減少が比較的大きかったが、イリノイ州は545万頭(同0.9%増)となるなど主要州でも州によって差が生じている(表2)。



 
8月の豚肉輸出量、前年同月比0.2%減
 米国農務省経済産業局(USDA/ERS)の「Livestock and Meat International Trade Data」によると、2021年8月の豚肉輸出量は23万8600トン(前年同月比0.2%減)と前年同月並みとなり、同年1〜8月の累計では220万7900トン(前年同期比0.2%減)となった(表3、図)。
 


 
 8月の豚肉輸出量を主要輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けは、同国の経済回復に伴い豚肉需要が好調を維持していることなどから、前年同月比5割増と大幅に増加した。一方、増加基調で推移してきた中国向けは、同国内の豚肉生産量の回復などに伴い9カ月連続で前年同月を下回り、同月は同約5割減と大幅に減少した。このようにメキシコ向けの増加が中国向けの減少を相殺する形となった。日本、韓国向けは、好調な小売需要を背景に冷蔵品が増加している。コロンビア向けは、コロナ禍で大きく落ち込んだ前年からの経済回復により大幅に増加した。
 
(調査情報部 河村 侑紀)