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海外の需給動向【豚肉/EU】 畜産の情報  2022年2月号

9月の中国向け輸出量は前年同月比56.3%減

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9月の豚肉生産量は前年同月比1.1%減  
 欧州委員会によると、2021年9月の豚肉生産量(EU27カ国)は、1頭当たり枝肉重量が前年同月比0.4%減の92.3キログラム、と畜頭数が同0.7%減の2094万頭といずれも減少したことで、同1.1%減の193万3510トンとなった(図1、表)。また、1〜9月の累計では、前年同期をわずかに上回る1741万トン(前年同期比2.5%増)となった。 
  9月の生産量を主要生産国別に見ると、スペイン(前年同月比8.3%増)、オランダ(同1.8%増)、イタリア(同5.6%増)が前年同月を上回った。一方、ドイツ(同6.4%減)、フランス(同0.5%減)、ポーランド(同6.0%減)、デンマーク(同11.1%減)が前年同月を下回った。特にドイツは、3カ月連続で前年同月を下回り、1〜9月の累計では、前年同期比2.5%減の372万7000トンと主要生産国の中で唯一前年同期を下回った。ドイツでは、豚飼養頭数および養豚農家戸数も減少傾向にあり、豚肉生産基盤の弱体化が懸念されている(注1)。 

(注1)海外情報「ドイツの豚飼養頭数、25年ぶりの低水準に(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003150.html)を参照されたい。
 




11月の豚枝肉卸売価格は、前年同月比4.6%安  
 欧州委員会によると、2021年11月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比4.6%安の100キログラム当たり128.66ユーロ(1万6984円:1ユーロ=132.01円(注2))となった。 

(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2021年12月末TTS相場。

 同価格の推移を週ごとに見ると、6月14日の週を境に下落に転じ、10月11日の週には同130ユーロ(1万7161円)を下回ったものの、直近の12月27日の週は前週比同の同131.96ユーロ(1万7420円)となった(図2)。週別価格は、クリスマス需要もあり12月に入ると、130ユーロを上回って推移するなどわずかに回復している。しかし、一部の加盟国は12月、同価格が依然として低水準で推移していることから、欧州委員会に対し民間在庫補助を含む緊急支援を要請したが、前回同様に拒否された(注3)

 (注3)海外情報「欧州委員会、豚肉の市場介入措置の発動要請を3回連続で拒否(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003140.html)を参照されたい。
 


 

EU域外向け輸出量は6カ月連続で前年同月を下回る  
 欧州委員会によると、2021年9月のEU域外への豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量(EU27カ国)は26万2030トン(前年同月比21.3%減)と前年同月を大幅に下回った(図3)。
 


 

 主要輸出先別に見ると、EU域外向け輸出量の34%を占め最大の輸出先である中国向け(同56.3%減)や香港向け(同53.3%減)は、いずれも前年同月の半分以下まで輸出量が減少した。一方、日本向け(同42.9%増)、韓国向け(同2.0倍)、フィリピン向け(同2.2倍)、米国向け(同68.8%増)は軒並み前年同月を大幅に上回ったものの、中国・香港向けの減少分を埋め合わせるには至らなかった。  
 中国向けは、同国でのアフリカ豚熱の発生に伴い19年後半から輸出量が増加し始め、一時期はEU域外向け輸出量の約60%を占めるなど、中国需要の恩恵を受ける形となっていた。しかし、中国での豚肉供給量の回復に伴い、同国向けの輸出量は6カ月連続で前年同月を下回っている。特に7月以降は減少幅が前年同月比で40%を超えるなど、急速に減退している。  
 また、こうした状況の中、中国は豚肉需給の改善に伴い一時的に8%に引き下げていた豚肉の最恵国関税を22年1月から元の12%に引き上げた。同国向けの輸出は引き続き厳しい状況が続くとみられることから、今後は中国以外の地域への輸出が注目される。


 (調査情報部 小林 智也)