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海外の需給動向【鶏肉/タイ】 畜産の情報  2022年2月号

日本向け輸出量、冷凍鶏肉と調製品で8月以降は前年を下回る

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2021年の鶏肉生産は前年比微増で推移
 タイ農業協同組合省農業経済局によると、2021年1〜11月の鶏肉生産量は、前年同期比1.1%増の193万2180トンとわずかに増加した(図1)。20年の鶏肉生産量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う影響などから月ごとの生産量に大きな増減が見られた。しかし、21年はこの影響が徐々に落ち着きを見せてきたとされており、また、安定した輸出需要などから鶏肉生産量は19年並みの水準で推移している。9月以降は、同国内のCOVID-19の新規感染者数が減少傾向にある中で、11月の生産量は前月を上回っている。
 
 
11月の国内の鶏肉卸売価格は上昇
 2021年11月の鶏肉卸売価格は、1キログラム当たり49.5バーツ(173円:1バーツ=3.5円(注))と20年下期の水準にまで上昇した(図2)。タイでは、20年に入り、COVID-19の世界的な拡大に伴う輸出需要の低下や国内経済への影響などから鶏肉卸売価格は大きく下落した。しかし、その後の輸出需要の回復などから同価格は上昇し、21年1月以降は同48バーツ(168円)と安定して推移していた。現地関係者によると、世界的な食肉需要に加え、国内消費の回復が11月の価格上昇を後押ししたとされている。
 一方で、9月以降の新規感染者数の減少に伴い食鳥処理・加工施設の操業状況は少しずつ回復に向かう中で、新型コロナウイルスの新規変異株の影響により、規制強化に向けた動きもあるなど、今後の鶏肉生産、価格見通しは不透明なものとなっている。 

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2021年12月末TTS相場。
 

 
21年1〜10月の日本向け冷凍鶏肉輸出は大幅増も8月以降は前年を下回る
 2021年1〜10月の冷凍鶏肉の輸出量は、31万3900トン(前年同期比13.6%増)とかなり大きく増加した(表1)。輸出先別に見ると、最大の輸出先である日本向けは14万4438トン(同39.7%増)と大幅に増加した。21年上半期を中心に日本市場で競合するブラジル産鶏肉の高騰を受けてタイ産への需要が高まったことで、10月時点ですでに過去4年の輸出量をいずれも上回る状況にある。しかし、8月以降は、日本向け食鳥処理・加工施設でのクラスター発生の影響などからの回復が遅れているため、輸出量は前年同月割れが続いている。
 一方、中国向けは、8万6522トン(同12.0%減)とかなり大きく減少した。中国では、豚肉生産の回復に伴い代替需要として増加傾向にあった鶏肉需要は減少傾向にあるとされている。

 
鶏肉調製品の輸出も8月以降は前年を下回る
 2021年1〜10月の鶏肉調製品輸出量は、44万6893トン(前年同期比1.9%減)となった(表2)。輸出先別に見ると、オランダ向けが3万806トン(同35.8%増)と大幅に増加した。しかし、主要輸出先である日本、英国および韓国向けがそれぞれ23万5920トン(同3.1%減)、10万9560トン(同7.8%減)、1万7209トン(同12.5%減)と減少したため、全体では前年をわずかに下回った。鶏肉調製品も冷凍鶏肉と同様、8月以降の日本向け輸出量は前年を下回る状況が続いている。食鳥処理・加工施設では、ミャンマーやカンボジアなどからの外国人労働者が多く、COVID-19による入国規制の影響で外国人労働者を中心とした労働力不足が深刻とされている。このため、タイ産を扱う日本の鶏肉冷凍製品の販売にも影響を与えている。

 
 (調査情報部 海老沼 一出)