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海外の需給動向【豚肉/カナダ】 畜産の情報  2022年3月号

11月の豚肉輸出量、米国向け増も中国向け大幅減で減少

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21年の生体豚輸出頭数、前年比13.9%増の見込み
 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)の「Livestock and Products Annual(Canada)」によると、2021年のカナダの豚産子数は2975万頭(前年比0.7%増)と前年をわずかに上回った(表1)。17年の豚流行性下痢(PED)の流行以来、生産者による衛生対策の強化で繁殖成績が向上し、産子数も増加傾向で推移していることから、22年も安定して推移するとみている。
 カナダにとって最大の生体豚貿易相手国である米国では、飼料高や豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)などの影響を受けて豚飼養頭数が減少した。このため、21年のカナダの生体豚輸出頭数は同13.9%増と見込まれている。なお、同年は、大手食肉企業であるオリメル社のケベック州の大規模工場で、4カ月間にわたり実施されたストライキの影響により出荷待ちの肥育豚が滞留したことで、米国向け肥育豚の輸出が増加したことも一因とみられている(図1)。

        
     


 21年の豚と畜頭数は、生体豚の輸出頭数が増加する一方で、産子数の増加や死亡頭数の減少により、2295万頭(同1.0%増)と前年を上回ると見込まれている。なお、国内外の豚肉需要が底堅く推移していることなどから、オリメル社は21年9月にケベック州の別の工場の処理能力を大幅に増強している。

21年12月の豚肉価格は前年同月比8.4%高
 コロナ禍での供給面の制約など複合的な要因により世界各地で急速な物価上昇が起きている。特にカナダの隣国である米国では、食肉の価格上昇が顕著になっている。カナダ統計局が発表した消費者物価指数(CPI)によると、カナダでも21年の夏以降、食品全体の物価上昇率が高まっており、12月には前年同月比5.2%高となった。このうち、肉類は同9.0%高、うち豚肉は同8.4%高と食品の中でも上昇率が高くなっている(図2)。CPIの上昇などを受けてカナダ中央銀行は、22年3月の利上げを示唆しており、今後の金融政策も注目されている。


 
 11月の豚肉輸出量、前年同月比8.7%減
 カナダ統計局によると、21年11月の豚肉輸出量は9万2000トン(前年同月比8.7%減)と前年同月をかなりの程度下回った(表2、図3)。輸出先別に見ると、中国向けは、中国国内の豚肉生産の回復に伴い輸入需要が落ち込んでいることから1万1300トン(同65.9%減)と前年同月の3分の1の水準にまで減少した。豚肉生産量が減少傾向にある米国向けは3万1900トン(同52.9%増)と大幅に増加し、メキシコ向けについても同国経済の回復傾向に伴う好調な豚肉需要から1万4900トン(同59.1%増)と大幅に増加した。それでも、中国向けの減少幅が大きかったことで、全体では前年同月を下回っている。
 

 


 
(調査情報部 河村 侑紀)