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海外の需給動向【豚肉/チリ】 畜産の情報  2022年3月号

豚肉輸出量、2021年は減少に転じる見込み

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2021年1〜11月の豚肉生産量は前年同期比1.8%増
 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2021年1〜11月の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は、53万8802トン(前年同期比1.8%増)と前年同期をわずかに上回った(図1)。

 
 
  近年のチリの豚肉生産量は、国内最大の養豚企業であるアグロスーパー社の母豚15万頭規模の農場が環境問題により13年3月に閉鎖に追い込まれて以降、17年まで減少傾向で推移してきた。特に17年は、主に農場の閉鎖によると畜頭数の減少から、直近10年間で生産量が最も少なかった。しかし、18年以降は増加傾向に転じている。これは、環境問題による生産への制約がある中、養豚企業による繁殖成績や飼料要求率の改善に加え、大手企業による種豚の遺伝的改良などの取り組みが行われたことで、生産の効率化や平均枝肉重量の増加が図られたためとみられる。1頭当たりの平均枝肉重量の推移を見ると、17年の100.3キログラムに対し、20年に105.4キログラムに増加しており、これらの取り組みがこの間の豚肉生産量の増加に大きく寄与している。
 
2021年1〜11月の豚肉輸出量、中国国内の豚肉需給緩和により前年同期比8.1%減
 2021年1〜11月の豚肉輸出量(冷蔵・冷凍)(注)は、19万5075トン(前年同期比8.1%減)と前年同期よりかなりの程度減少した(表1)。年間輸出量は、18〜20年に3年連続で過去最高を更新したが、21年は減少に転じるとみられる。特に21年5月以降は前年同月比で10%以上下回っており、年後半にかけて減少幅が拡大した。
 輸出先別に見ると、最大の中国向けは、12万4519トン(同19.7%減)と前年までの増加傾向から大幅な減少に転じた。同国向け輸出量は、中国におけるアフリカ豚熱の発生による同国産豚肉の代替需要により19年後半以降加速し、18〜20年の間に3.9倍に急増した(図2)。しかし、その後は中国の豚肉生産が回復し、輸入需要が減少したことから、21年5月以降、同国向け輸出量は前年同月を大幅に下回って推移している。輸出単価についても、需給の緩和を反映して21年5月以降急速に下落し、11月には5月と比べて半額以下(同56.2%安)となった。
 韓国および日本向け輸出量は、それぞれ同3.8%増、同14.8%増と前年同期を上回っている。両国向けは、ロインやバラ、肩ロースなどの部位を中心に毎月1000〜2000トン台の水準で比較的安定して輸出されている。このほか、コロンビア向けが前年同期比で3.2倍になったほか、コスタリカやペルーといった中南米向けが増加している。
 





2021年1〜11月の輸入量、前年同期を大幅に上回る
 2021年1〜11月の豚肉輸入量(冷蔵・冷凍)(注)は、13万2232トン(前年同期比56.1%増)と大幅に増加した(表2、図3)。これは20年3月、COVID-19の拡大によりチリ国内に大災害事態宣言が発出され、外食店舗の閉鎖や移動制限により需要が大幅に減少したものの、8月以降、規制の緩和や政府支援策による消費者の購買力の回復などにより需要が回復し、需給が一時的にひっ迫したためとみられる。
 輸入先別に見ると、最大のブラジルは、5万6895トン(同49.2%増)と大幅に増加する一方、それに次ぐ米国は、2万9438トン(同26.3%減)と大幅に減少した。両国を合わせた輸入量は、20年まで全体の9割程度を占めていたが、21年(1〜11月)は、65.3%に低下した。一方、米国に代わりドイツからの輸入量が同95.3倍の2万9437トンと大幅に増加した。これは、20年9月、ドイツでのアフリカ豚熱の確認により、中国が同国からの豚肉輸入停止措置を講じた結果、他の輸出先に仕向けられたためとみられる。ドイツからの豚肉の輸入単価は米国より安く、20年12月以降、月間2000〜3000トン台の豚肉が輸入されている。このほか、スペインからの輸入量も同13.4倍の2933トンと大幅に増加した。
 チリでは、ブラジル産などの安価な輸入品を国内消費向けとして加工品に仕向け、高級部位を積極的に輸出するという動きが進んでいるといわれている。今後は、環境問題により生産拡大が限られる中、輸出市場のニーズや国内消費の動向に応じて輸入が継続するものとみられる。

(注)チリの豚肉輸出量および輸入量のほとんどは冷凍品が占めている。




 
(調査情報部 井田 俊二)