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海外の需給動向【牛肉/アルゼンチン】 畜産の情報 2022年4月号

2021年の牛肉輸出量、6年ぶりに減少に転じる

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牛肉生産量、5年ぶりに減少

 アルゼンチン農牧漁業省によると、2021年の牛と畜頭数は1296万7000頭(前年比7.4%減)、牛肉生産量は297万7000トン(同6.1%減)といずれも5年ぶりの減少となった(図1)。
 これは、堅調な輸出需要を背景として19〜20年に雌牛を中心にと畜が増加し、21年の牛群が縮小局面にあることや、21年5月から牛肉輸出制限措置が講じられたこと(後述)などが要因とみられる(図2)。



 

中国向け輸出量、前年比8.5%減

 アルゼンチン国家統計院によると、2021年の牛肉輸出量は、5月から講じられた牛肉輸出制限措置の影響などにより55万9817トン(前年比8.0%減)となり、6年ぶりに前年を下回った(表)。
 輸出先別に見ると、全体の76%を占める中国向けは42万4379トン(同8.5%減)と前年をかなりの程度下回った。同国向け輸出は、近年、経済発展に伴う牛肉需要の拡大や、18年に同国で発生したアフリカ豚熱に伴う代替需要により大幅に増加したが、その後、豚肉生産の回復などから減少に転じている。一方で、中国に次ぐチリ(同2.0%増)およびイスラエル(同11.6%増)向けは前年を上回った。このほか、18年12月に生鮮牛肉の輸出が再開され、年間2万トンの低関税枠を有する米国向けは2万1130トン(同2.6%増)となった。
 アルゼンチンでは、18年以降、財政悪化に伴い米ドルに対してペソ安が進み、その後も政情不安などから急激にペソ安が進行した(図3)。このような状況に加え、COVID-19の影響で経済状況がさらに悪化し、年率50.9%(21年)となる急激なインフレに陥っている。こうした中で同国政府は、21年5月に国内の牛肉価格を抑制し、国内消費を回復させるため、牛肉の輸出を30日間停止する措置を講じている。その後、牛肉輸出は再開されたが、輸出量の上限設定(21年10月31日まで)や、一部品目の輸出禁止などの輸出制限継続(21年末まで)が実施された(注1)。なお、一部品目の輸出禁止措置は、23年末まで延長されることとなった。

(注1)海外情報「アルゼンチン政府、30日間の牛肉輸出停止措置を公表」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002955.html)および「アルゼンチン、条件付きで牛肉輸出再開を決定」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002990.html)を参照されたい。

 




 

肥育牛(去勢)出荷価格、大幅に上昇

 2021年の肥育牛(去勢)の出荷価格は、5月に牛肉輸出制限措置が講じられた後、一時的に下落したものの、インフレの進行などによりペソ建てで見ると20年に続き大幅に上昇している。同国の肉用牛相対取引の指標となっているリニエルス家畜市場の取引価格は、22年1月に1キログラム当たり235.02ペソ(254円:1ペソ=1.08円(注2)、前年同月比60.3%高)と大幅に上昇した(図4)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年2月末のTTS相場。


 

1人当たり牛肉消費量、47.6キログラムに減少

 アルゼンチン農牧漁業省によると、2021年の1人当たり牛肉消費量(1〜12月の各月に公表される年間消費量の平均値)は47.6キログラム(前年比5.4%減)と4年連続で減少し、50キログラムを下回った(図5)。これは、堅調な牛肉輸出に加え、経済状況の悪化に伴う安価な食肉への消費の移行、また、食生活の多様化などが要因とみられる。1人当たり牛肉消費量は長期的に減少傾向で推移しており、21年は07年(68.1キログラム)と比べて3割程度減少している。
 

(調査情報部 井田 俊二)