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海外の需給動向【飼料穀物/中国】 畜産の情報  2022年4月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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トウモロコシ、新穀の供給増も需要の高まりから価格は安定

 中国農業農村部は2月25日、「農産物需給動向分析月報(2022年1月)」を公表した。この中で、2022年1月の国産トウモロコシ価格については、供給量が増加する中で、春節前の在庫補充に向けた工業向けの需要の増加や流通業者の購入量が増えたことで、前月並みとしている(図1)。また、短期的な価格動向については、トウモロコシ生産量の増加から市場には十分な供給量が確保されているため、高水準ながらも安定して推移すると予想している。


 主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、22年1月が1キログラム当たり2.54元(47円:1元=18.57円(注))と前月からわずかに上昇した。同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)同2.80元(52円)に比べて同0.26元(5円)安となり、前月からわずかに価格差が縮まっている。
 一方、関税割当数量を超えた輸入トウモロコシ価格(65%の関税+25%の追加関税)は同4.06元(75円)と前月から同0.6元(11円)上昇した。国産トウモロコシ価格に比べ同1.26元(23円)高く、前月より価格差が広がっている。
 このような中で、中国のトウモロコシ輸入量は引き続き高い水準にある。21年(1〜12月)のトウモロコシ輸入量は2835万トン(前年比2.5倍)、同輸入額は前半の穀物相場の上昇を反映し同3.2倍の80億300万米ドル(9327億円:1米ドル=116.55円(注) )と報告されている。主な輸入先は米国(輸入量全体の69.9%)、ウクライナ(同29.0%)となった。
 現下のウクライナ情勢により、今後、同国からのトウモロコシ輸入量に変化が生じる可能性もあるとして、その動向が注目されている。

大豆、国産価格は引き続き高水準と予想

 例年、春節前はトウモロコシと同様に在庫補充に向けて大豆の需要も高まるが、今期は国産大豆価格が高い水準にあることで、さらなる価格上昇を見越して生産者の販売は消極的となっており、取引量は減少傾向としている。一方で、高値に対する下げ圧力も強まっており、2022年1月の国産価格は前月からわずかに下落した(図2)。また、短期的な価格動向については、主産地を中心とした国家貯蔵庫向け買い入れ価格の引き上げなどから、引き続き高水準で推移すると予想している。


 主産地である黒竜江省の搾油用向け国産大豆平均取引価格は、1月が1キログラム当たり5.00元(93円、前年同月比5.3%高)、同じく食用向け同価格は同6.04元(112円、同7.8%高)と前月からわずかに下落したものの依然として前年に比べて高い水準にある。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.48元(120円、同9.5%高)と同じく高い水準にある。国産大豆価格と輸入大豆との価格差は、1月が1キログラム当たり2.02元(38円)と前月からわずかに縮まった。
 このような中で、中国の大豆輸入量は引き続き高い水準にある。21年(1〜12月)の大豆輸入量は9652万トン(前年比3.8%減)とやや減少したものの、同輸入額は前半の穀物相場の上昇を反映し同35.5%増の536億200万米ドル(6兆2473億円)と報告されている。主な輸入先は、ブラジル(輸入量全体の60.2%)、米国(同33.5%)、アルゼンチン(同3.9%)となった。

2021/22年度のトウモロコシ、大豆の需給予測を公表

 中国政府系機関の国家糧油情報センターは2月9日、2021/22年度(10月〜翌9月)の中国のトウモロコシ供給量について、2億9255万トンとの予測数値を公表した。このうち、国産は2億7255万トン、輸入は2000万トンとしている。輸入は前年度より900万トン減少するが、この要因として、ソルガムや大麦などトウモロコシ代替品の輸入増を挙げている。消費量については、飼料向け(損耗分を含む)が1億8600万トン(前年度比800万トン増)、工業向けが7700万トン(同100万トン減)としている。工業向けの減少要因として、トウモロコシ価格が高止まり傾向にある中で、でん粉やアルコール向け需要の低下やコスト上昇に伴う輸出環境の悪化を挙げている。
 また、同年度の中国の大豆供給量について、1億1640万トンとの予測数値を公表した。このうち、国産は1640万トン、輸入は1億トンとしている。消費量については、搾油仕向けが9935万トン(同20万トン増)、食用等向けが1605万トン(同128万トン減)としている。大豆の輸入量は引き続き高い水準が予測されており、世界の大豆需給に与える影響はより高まっている。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年2月末TTS相場。

(調査情報部 横田 徹)