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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2022年5月号

4年3月の鶏卵卸売価格、2カ月連続で前年同月を下回る

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 令和4年3月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり195円(前年同月比25円安)と、2カ月連続で前年同月を下回った(図1)。卸売価格は、例年、年初に下落し、春先に向けて上昇する傾向がある。本年3月の同価格は、月初に同190円となっていたが、中下旬の3連休に向けて上昇し、18日には同200円台となったもの、月平均としては200円を下回る結果となった。
  4月について、供給面は、寒さの和らぎに伴い、産卵率および卵重が安定する時期となるものの、養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの発生が続いていることから、今後の生産動向について注視が必要と思われる。
 需要面は、学校給食が再開したこと、行楽需要が期待される時期となること、まん延防止等重点措置などの終了に伴う人出の増加が見込まれていることから、業務・外食用需要の回復が期待されている。しかしながら、感染拡大防止の取り組みは継続されることから、COVID-19拡大前の水準に戻るまではしばらく時間を要すると思われる。


令和3年の鶏卵生産量、前年比2.2%減
  鶏卵生産量は、平成25年夏以降、需要の拡大を受け、鶏卵卸売価格が比較的堅調に推移したことで生産者の増産意欲が高まり、増加傾向で推移してきたものの、令和3年はCOVID-19の拡大や高病原性鳥インフルエンザ(以下「HPAI」という)の発生の影響を大きく受けた1年となった。
  農林水産省が4年3月30日に公表した「鶏卵流通統計調査」によると、3年(1〜12月)の鶏卵生産量は257万4255トン(前年比2.2%減)と2年連続で前年を下回った(図2)。
  卸売価格(東京、M玉基準値)を見ると、3年は1キログラム当たり217円(前年比46円高)と前年を大幅に上回った。前年はCOVID-19拡大の影響による業務用需要の大幅な減少などから、同価格が低水準で推移していたものの、3年は2年11月から3年3月までのHPAI発生に伴う大幅な供給の減少などから、同価格が大幅に上昇した。


 
 3年の鶏卵の月別生産量の推移を見ると、8月、11月、12月を除く月で前年同月を下回った(図3)。特に、2月の生産量の減少が大きく、3月には再び200万トン台まで回復したものの、例年、生産量が増加する春先も3年は限定的な上昇となった。
 3年の生産量がおおむね前年同月を下回って推移した要因としては、全国的なHPAI発生が挙げられ、農林水産省によると、これに伴う採卵鶏の殺処分羽数は、全国飼養羽数の約5%に当たる約900万羽と報告されている。


 
 都道府県別の上位の鶏卵生産量を見ると、最大の生産地は茨城県で21万6195トン(前年比7.1%減)次いで、鹿児島県が18万3220トン(同3.6%減)、岡山県が13万7575トン(前年比7.6%増)、広島県が13万4739トン(前年比4.0%減)、栃木県が11万16トン(前年比4.4%増)となった(表)。例年、上位に位置していた千葉県は、HPAIの影響により10万6605トン(同32.1%減)と前年を大幅に下回り、3年は8位となった。一方で、静岡県においては、1戸当たりの飼養羽数が、全国の中でも特に増加傾向にあることなどから、10万7316トン(同46.3%増)と前年を大幅に上回った。

 
(畜産振興部 郡司 紗千代)