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海外の需給動向【牛肉/EU】 畜産の情報 2022年6月号

牛飼養頭数の減少から22年の牛肉生産量は減少見込み

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2021年の牛肉生産量、前年比0.4%減
 欧州委員会によると、2021年の牛肉生産量(EU27カ国)は、679万7360トン(前年比0.4%減)となった(表1)。同年の牛肉生産量を国別に見ると、イタリア(同2.1%増)、スペイン(同6.1%増)が増加となった一方で、フランス(同0.7%減)、ドイツ(同2.3%減)、アイルランド(同6.1%減)などで減少した。米国農務省の分析によると、21年第4四半期の牛枝肉卸売価格と飼料価格の上昇からと畜頭数が増加したことで、21年のと畜頭数は前年を上回る数字(同0.5%増)になったとしている。しかし、飼料価格など生産費の上昇を避けた早期出荷も多かったことで1頭当たりの枝肉重量が減少し(同0.9%減)、同年の牛肉生産量は前年を下回った。
 また、21年12月調査のEUの牛飼養頭数(乳用牛を含む)は、7565万490頭(同1.1%減)と5年連続で前年を下回った(図)。ここ数年上昇している飼料価格などを要因に牛飼養頭数は減少基調にある。
 欧州委員会は、4月5日に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、多くの加盟国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する規制が解除され、外食需要の回復に伴い牛肉価格の上昇が見込まれているとした。その一方で、22年の牛肉生産量は、肉牛および酪農部門での牛群再構築が続くため減少すると見込まれている。また、飼料価格の上昇は、早期出荷によると畜頭数の増加や枝肉重量の減少に繋がる可能性があるとし、特に購入飼料の利用比重が高い舎飼いの肉牛農家では、収支への負の影響が見込まれている。
 

 

2021年の英国への冷蔵牛肉輸出は大幅に減少
 2021年のEUの牛肉輸出量は45万6883トン(前年比1.8%減)とわずかに減少した(表2)。そのうち、冷蔵牛肉は25万282トン(同8.9%減)とかなりの程度減少したものの、冷凍牛肉は20万6601トン(同8.3%増)とかなりの程度増加した。冷蔵牛肉では、ボスニア・ヘルツェゴビナ向け、スイス向け、ノルウェー向けなどが増加したが、最大の輸出先である英国向けの減少分を埋め合わせるまでには至らなかった。一方で、冷凍牛肉は英国向けやフィリピン向けなどが増加する中で、特に日本向けは、同88.8%増と大幅に増加した。
 前述の見通しによると、22年のEUの牛肉輸出は、EU域内からの供給量が限られるため、世界市場での供給不足により牛肉価格が上昇しているにもかかわらず、21年と比較してわずか1%の増加にとどまると見込まれている。


(調査情報部 小林 智也)