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話題/畜産の情報 2022年7月号

68th 国際食肉科学技術会議の日本開催について

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68th ICoMST 組織委員会委員長・日本食肉科学会理事長 坂田 亮一
 標記の国際会議(通称 ICoMST:International Congress of Meat Science and Technology) は、2022年8月に神戸開催を目指し、組織委員会を4年前に立ち上げ準備を進めています。
 この国際会議は、1955年にヘルシンキで開催されたヨーロッパ食肉研究者会議を源として、その歴史が始まりました。以来60年以上にわたり、伝統ある国際会議として、近年世界約40カ国以上から500人を超す研究者と技術者が一堂に会し、食肉研究の分野では、世界最大級の学術会議として、食肉科学の発展に寄与するにとどまらず、世界の食肉産業の成長にも多大な貢献をしてきました。今後の食肉科学と食肉産業の発展においても、もはや欠かせない存在となったと言っても過言ではありません。第33回から国際の名称に代わるとともに、欧州、欧州以外の順で年々開催されるようになり、近年では2019年ドイツ、2020年米国、2021年ポーランドで開催されました。
 日本では、1999年に横浜市にて45th ICoMSTをアジア諸国に先駆けて開催しました。それが素晴らしく構成され、好印象だったことから、再び日本で開催する運びとなりました。それは、その時に参加した外国研究者だけでなく、日本に注目している世界の若手層からの希望にもよるものです。東京オリンピック・パラリンピック2020が延期を経て開催されたことも刺激となり、食肉の分野でも日本に熱い視線が注がれています。
 今回の68th ICoMSTは、わが国では23年ぶり、二度目の開催となります。会議場所は神戸に決定しました(写真1)。理由は、神戸には日本を代表する港湾があり、異国情緒にあふれた国際都市で、海山の観光資源に恵まれ、風光明媚(めいび)で美しい街であるからです。幕末期、開国により横浜に外国領事館、商館が建てられるようになり、外国人向けの牛肉の調達も始まるとともに、近畿や中国地方の牛が神戸に集められ、横浜に運ばれました。その牛肉が外国人の間で評判となり、やがて「Kobe Beef」の名前で有名となった、という食肉の歴史がここにあります。和牛は、今や世界市場に発展しており、日本で食肉の国際会議を行う上で、神戸は最適な場所であると言えます。また、温泉、酒蔵など歴史とおもてなしの心があることは、国際会議を行うにふさわしく、神戸の文化を参加者に示す場となりうること、またKobe Beefに代表されるように、この兵庫県地域では農産物の質の高さを持ち、米どころでもあり、畜産物の生産量もわが国でトップクラスであることも神戸への会議の参加を呼びかける原動力となっています。


開催時期と場所、参加予定者数は以下の通りです。
・開催時期:2022年8月22日(月)〜25日(木)(4日間)
・開催場所:神戸市国際会議場(神戸市中央区ポートアイランド)
・参加予定者数:約40カ国・地域400人(海外約200人、国内約200人)
・会議様式:現地でWeb開催

 予想もしない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で、世界中がパンデミックになり、それでも従来の対面式での会議開催を行うことができるように、準備を行っていましたが、社会情勢に鑑み、とりわけわが国の水際対策を考え、以上のようにオンライン形式の導入を決定しました。それでも海外、国内から神戸に集う希望があれば、受け入れるように会議場の設備などを現在準備中です。
 日本での開催の意義をもう少し列記しますと、

1 食肉の生産から利用および流通に至る科学技術は、各国の研究者や技術者の努力で日進月歩の発展を遂げている。これら食肉に関わる世界の研究者や技術者が一堂に会し、世界の最新の研究成果などについて発表・討論することによりわが国の畜産および食肉産業の発展のための重要な機会となる。
2 また、この機会に、わが国の和牛をはじめとする牛肉、豚肉、鶏肉、ハム・ソーセージなどを世界各国からの参加者にPRすることにより、わが国の畜産物の輸出拡大につなげる絶好の機会となる。
3 今回の大会では「食肉の未来を考える」をメインテーマとして、(1)世界の食肉市場、(2)日本からのメッセージ(世界に誇る和牛、ブランド肉など)、(3)食肉微生物・安全性、(4)食肉の生産・品質、(5)筋肉生物学・生化学、(6)新技術、(7)食肉製品・利用、(8)食肉と健康の8セッションが予定されており、世界における最新の研究成果が発表されることにより、わが国の畜産・食肉産業の発展につながることが期待される。

 以上のように、68th ICoMSTでは、食肉分野における世界中のトップの研究者、技術者が神戸に結集し、最新の研究成果などについて発表・討論することにより、わが国の畜産および食肉産業の発展に寄与することをこの会議の目的としています。
 2019年はドイツでの65th ICoMSTに日本から組織委員会メンバーを多数派遣し、広報活動を実施しました(写真2)。2020年は米国での66th ICoMSTがCOVID-19拡大でバーチャル形式となり、派遣に至らず大勢の組織委員会メンバーが会議にリモート参加しました。2021年にポーランドで開催された67th ICoMST(リモート併用形式)では、前年に続き多くの組織委員がバーチャル参加し、また2022年の主催者を代表して現地参加し、本会議の引き継ぎを行ってまいりました(写真3)。




 
 2020年から組織委員会は2か月ごとに会議を開き、そこで活発な意見交換を行っています。農林水産省、厚生労働省ならびに各種食肉関連団体、学会などからも後援を得ております。現在、趣意書を関連企業や団体に配布し、協賛金の依頼活動を展開しています。News Letterも一昨年から発行し、組織委員会活動の広報に努めています(写真4)。


 
 一方で、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の世界的感染拡大の中で、ICoMST本部(アイルランド)とも連携し、国際情勢も見ながら68th ICoMST 2022 in Kobeの開催準備を日々進捗させております。

68th ICoMSTホームページ:
https://icomst2022.com/

(プロフィール)
九州大学大学院農学研究科博士取得。フンボルト財団研究員としてドイツ国立食肉研究所に留学(1993〜95年)。ドイツの食肉学術雑誌Fleischwirtschaft編集委員、DLGとIFFA(ドイツ農業協会と国際食肉産業見本市)のハム・ソーセージ品質競技会審査員歴任、2019年度より麻布大学名誉教授、日本食肉研究会会長(2021年度から日本食肉科学会に改称し、同会理事長に就任)