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国内需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2022年8月号

鶏卵卸売価格、前年同月を下回るもなお高水準

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 令和4年6月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、前年同月の同価格が高病原性鳥インフルエンザの大規模発生による生産量の減少から高水準で推移していたため、1キログラム当たり213円(前年同月比46円安)と前年同月を下回った(図1)。なお、過去5カ年の6月平均との比較では、業務用需要の回復や生産コストの上昇などにより、14.3%高とかなり大きく上回る結果となった。


 
 例年、年明けに下落した同価格は、春先に向けて上昇し、夏の低需要期に再び下落する傾向がある。6月の日ごとの推移を見ると、前月の5月30日に低下した同215円で弱もちあいが続く中、梅雨入りと気温の上昇に伴う需要の減少による荷余り感から、6月16日に同5円安の同210円へとさらに下押しの展開となった。
 今後について、供給面は、気温上昇に伴う産卵率の低下に加え、飼料費をはじめとする生産コストの高騰に伴う生産者の生産意欲の低下から、誘導換羽(注)などの生産調整の取り組みによる生産量の減少が見込まれている。需要面では、夏休み中の学校給食停止に伴う業務向けの需要の低下に加え、夏季の食欲減退によるテーブルエッグなどの需要の増加が見込みにくい時期が続くとみられる。例年通り、夏季は需要の増加要因に乏しいものの、この時期に加工筋による凍結卵黄用など向けの引き合いが増加する傾向があることから加工向けの需要による下支えが期待される。また、外食需要や観光需要などは回復基調にあることから、引き続き業務向けの需要のさらなる回復が期待されている。

(注) 栄養制限などを行い産卵の休止・換羽へと誘導することで、加齢に伴って低下した産卵率やもろくなった卵殻などが一時的に回復し、採卵期間を延長できる飼養管理法。

鶏卵小売価格、14カ月連続で前年同月を上回る
 国内の鶏卵消費量のほとんどが国内生産で賄われていることから、鶏卵小売価格は卸売価格の変動に影響を受ける傾向がある。
 鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、前年に高病原性鳥インフルエンザの影響により大きく上昇し、本年に入っても業務用需要の回復や生産コストの上昇などの要因から平年に比べて高水準で推移している。小売価格(東京都区部)の推移を見ると、1パック当たり233円(前年同月比4円高)となり、前月の同235円から2円安となったものの、14カ月連続で前年同月を上回った。なお、過去5カ年の5月平均と比べると3円高い水準となっている(図2)。
 

 
 次に、鶏卵消費の約5割を占める家計消費を見ると、5月の家計消費量(全国1人当たり)は936グラム(前年同月比6.7%減)とかなりの程度、購入金額(全国1人当たり)は299円(同3.4%安)とやや、いずれも前年同月を下回った(図3)。


 
 なお、過去5カ年の水準との比較では、本年の4月および5月は購入数量、購入金額ともにCOVID−19の影響により内食需要が高まった2年および3年を下回った一方、平成29年から令和元年との比較ではおおむね上回って推移している。小売価格が上昇する中でも、購入数量が安定した推移となっていることから、家庭で消費される食材としての需要が根強いことがうかがえる。
 
マヨネーズ生産量、中食・外食需要を受けておおむね堅調に推移
 鶏卵を使用した加工品の一つにマヨネーズを含むドレッシング類がある。鶏卵は、植物油、酢とともにマヨネーズの主要な原料の一つであり、また、一部の半固体状ドレッシング類の原料にも鶏卵が使用されていることから、これらの生産動向が鶏卵消費に与える影響は少なくない。
 全国マヨネーズ・ドレッシング類協会が公表しているマヨネーズ・ドレッシング類の動向を見ると、消費者の健康志向や中食・外食需要の高まりなどを受けて平成23年以降は好調に推移していたものの、令和2年はCOVID−19の発生に伴い業務用マヨネーズの需要が落ち込んだことから、生産量が減少した(図4)。3年のマヨネーズ・ドレッシング類の生産量は40万3999トン(前年比1.1%増)と前年からの反動増となった。このうち、マヨネーズが21万8154トン(同0.4%増)、その他の半固体状ドレッシングが6万4471トン(同1.0%増)と、いずれも前年をわずかに上回った。
  なお、マヨネーズの4年1〜5月の生産量の累計を前年同期と比較すると、3.6%減と前年をやや下回る水準となった。昨年からマヨネーズの主原料である植物油の高騰や物流費の上昇などを背景に、製造各社において業務用および家庭用商品の内容量の調整や価格改定が行われているが、マヨネーズを含むドレッシング類は鶏卵の消費を支える重要な品目であることから、今後の動向を注視していく必要がある。


 
(畜産振興部 郡司 紗千代)