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海外の需給動向【牛肉/アルゼンチン】 畜産の情報 2022年9月号

2022年1〜6月の牛肉輸出量、前年同期をわずかに上回って推移

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2022年1〜6月の牛肉生産量、前年同期比3.7%増

 アルゼンチン農牧漁業省によると、2022年1〜6月の牛肉生産量は、149万5000トン(前年同期比3.7%増)と前年同期をやや上回った(図1)。また、同期間の牛と畜頭数は、648万4000頭(同2.1%増)となった。21年の牛肉生産量は、牛群が縮小局面にあることや、5月に牛肉輸出制限措置が講じられ生産者がと畜を控えたことなどから5年ぶりに減少したが、22年は再び増加傾向で推移している。
 
 
 一方で、米国農務省によると、22年のアルゼンチンの牛肉生産量は前年をわずかに下回ると見込まれている。これは、20年、21年の子牛出生頭数が少ないことや、2年連続のラニーニャ現象の発生により多くの地域で乾燥気候となり、特に年初に北部や中東部で高温や厳しい干ばつに見舞われ、穀物や牧草に被害が発生し、肉用牛生産に影響を及ぼしたことなどが要因であるとしている。
 

肥育牛(去勢)出荷価格は上昇傾向で推移

 肥育牛(去勢)の出荷価格(アルゼンチンペソ建て)は、近年の堅調な牛肉の輸出需要に加えてインフレの進行などもあって上昇傾向で推移した。同国の肉用牛相対取引の指標であるリニエルス家畜市場における2022年6月の出荷価格は、前年同月比56.6%高の1キログラム当たり275.65ペソ(約292円:1ペソ=1.06円(注))となった(図2)。
 
 
 堅調な肉用牛価格の下、放牧主体の肉用牛農家の経営は良好な状況を維持しているが、一方、フィードロット経営は、飼料穀物価格高により生産コストが上昇したため、その多くは状況が良くないとされている。

(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」2022年7月末TTS相場。
 

牛肉輸出量は中国向けが全体の4分の3程度を占める

 アルゼンチン国家統計院(INDEC)によると、2022年1〜6月の牛肉輸出量は、29万3755トン(前年同期比0.5%増)とわずかに上回った(図3)。牛肉輸出量は近年、中国からの需要により急速に増加したが、21年は生産量の減少や牛肉輸出制限措置などにより6年ぶりに減少した(55万9817トン、前年比8.3%減)。
 輸出先別で見ると、中国向けは22万9820トン(同0.4%減)と前年同期をわずかに下回った。同国向けは、21年後半から減少傾向に転じ、21年は前年比8.8%減となった。しかしながら、同国向けは全体の4分の3程度を占めており、引き続きアルゼンチンの牛肉輸出をけん引している。このほか米国向け(同44.0%増)、ドイツ向け(同26.1%増)は大幅に増加する一方で、チリ向け(同28.5%減)は大幅に減少した。
 アルゼンチン政府は、国内市場に安価な牛肉を提供することを目的として、国内で需要の見込まれる枝肉、アサド(バラ)など牛肉7部位の輸出停止(23年末まで継続)などの規制を講じており、牛肉輸出に影響を及ぼしている。
 

 
(調査情報部 井田 俊二)