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海外の需給動向【牛乳・乳製品/NZ】 畜産の情報 2022年9月号

乳製品輸出量は減少も、世界的需要の高まりから輸出額は増加

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2022/23年度の生乳生産量は、前年並みでスタート

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022/23年度(6月〜翌5月)の幕開けとなる22年6月の生乳生産量は、23万4000トン(前年同月比同)と前年並みとなった(図1)。ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、秋期(3〜5月)に分娩を終えた牛群が6月の良好な放牧環境を享受したことで生乳生産量が回復し、21年8月から続いた10カ月連続前年同月割れに歯止めがかかったとしている。
 
 

 一方で、7月に入り降雨が続いたため日照不足となり、ニュージーランド(NZ)北島のワイカト地方では牧草の成長率が予測値を下回ったほか、今シーズンはラニーニャ現象による牧草の生育不順が見込まれているなど、生乳生産は依然として厳しい状況が続くと予測されている。
 また、世界的な生乳生産量の減少による乳製品国際価格の高騰を受けて、NZ乳業大手のフォンテラ社は6月23日、今年度の生産者支払乳価を生乳の固形分(注1)1キログラム当たり平均9.0NZドル(780円:1NZドル=86.64円(注2))から同9.5NZドル(823円)へ引き上げると公表した。

(注1) 乳脂肪分および乳たんぱく質。
(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・中央平均の為替相場」の2022年7月末TTS相場。

 

乳製品輸出量、主要3品目が前年同月を下回る

 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年6月の乳製品輸出量は、バターおよびバターオイルを除く主要3品目でいずれも前年同月を下回った(表1、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳は、アラブ首長国連邦やインドネシア向けが前年同月を上回ったものの、最大の輸出先である中国向けが同2割程度減少したことで、全体でやや減少した。全粉乳は、最大の輸出先である中国向けをはじめ、主要輸出先のタイやスリランカ向けなどが落ち込んだことから、全体でも大幅に減少した。バターおよびバターオイルは、ベトナムやフィリピンなど東南アジア向けが前年同月を下回ったものの、最大の輸出先である中国向けをはじめ、日本や韓国向けが大幅に増加したことを受けて、全体ではやや増加した。チーズは、日本向けが前年同月を上回ったものの、豪州、中国、韓国向けなどが大幅に落ち込んだことで全体でも大幅に減少した。
 一方で、世界的な乳製品需要の高まりを背景に、輸出単価は上昇基調にあり、6月の主要4品目の輸出額合計は15億2375万NZドル(1320億円、前年同月比4.7%増)と前年同月を上回る好調さを見せた。
 


 

GDT価格は、主要4品目すべてが前回より下落

 2022年7月19日に開催されたGDT(注3)の1トン当たりの平均取引価格は、主要4品目すべてで前回開催(同年7月5日)時から下落した(表2、図3)。NZXはこの理由として、COVID-19の拡大により、中国での乳製品需要の低迷が継続しているほか、スリランカの経済不安や北半球の市場参加者が夏休みに入ったことで需要が非常に少ない状態でオークションが開始されたためと推測している。
 品目別に見ると、脱脂粉乳はEUや中東からの引き合いが強かったものの、北アジア(注4)からの引き合いが弱まったため、前回よりもかなりの程度下落した。全粉乳は東南アジアや中東からの買い付けが増加したものの、アフリカからの引き合いが落ち着いたため、価格はやや下落した。バターは、北アジアの応札が増加したものの、東南アジアからの引き合いが弱く、わずかに下落した。また、チーズは、EUや中東からの引き合いが強かったものの、東南アジアの買い付けが前回の半分程度であったため、全体ではわずかに下落した。

(注3) グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注4) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。

 



 
(調査情報部 工藤 理帆)