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海外需給動向【牛肉/豪州】畜産の情報 2022年11月号

ラニーニャ現象により肉牛取引価格は上昇傾向が継続

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豪州気象局がラニーニャ現象を宣言
 豪州気象局(BOM)は2022年9月13日、3夏連続となるラニーニャ現象の発生を宣言した。
 ラニーニャ現象は、同年10〜12月にかけて、北部と東部で平均を上回る降雨の可能性を高めている(図1)。BOMは、23年の早い時期に平年の気候に戻る可能性があるとしているが、多雨による順調な牧草生育による牛群再構築の継続が見込まれ、と畜頭数の増加はまだ先になると考えられる。

 
肉牛取引価格は引き続き堅調に推移
肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2022年9月以降も継続して緩やかな上昇傾向が続いており、同月20日時点で1キログラム当たり1055豪セント(1015円:1豪ドル=96.17円(注))となっている(図2)。
 現地報道によると、畜産関係者らは、過去の長期的な干ばつにより現在でも農場では牛のいないパドックが多いとしているほか、順調な牧草生育を背景に牧草肥育農家からの牛の需要は依然として強いとしており、少なくともラニーニャ現象のピークとされる12月ごろまで、肉牛価格の上昇傾向は続くとみている。
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、降雨により牛の搬送が停滞し、家畜市場への供給が減少しているほか、一般的に春(9〜11月)が牛の需要期であることなども、肉牛取引価格の堅調さに反映されているとしている。また、農場では雌牛の多頭飼育が進み、今後、子牛の増頭が見込まれることで、牛の供給は長期的に明るい見通しであるとしている。

(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年9月末TTS相場
 

牛肉輸出量は韓国および中国向けが急伸
 牛肉生産では、依然として食肉処理施設の労働力不足などの課題があるものの、豪州農林水産省(DAFF)によると、2022年8月の牛肉輸出量は9万2079トン(前年同月比19.4%増)と大幅に増加した(表)。
 輸出先別に見ると、韓国および中国向けの増加が顕著となっており、韓国向けは1万8368トン(同42.5%増)、中国向けは1万6803トン(同41.1%増)といずれも大幅に増加している。現地報道によると、韓国向けの増加は、韓国政府による国内のインフレ対策として、牛肉を含む食品の価格引き下げに向けた取り組みの一環で、7月20日から年末まで10万トンの輸入牛肉の枠内税率を無税にしたことが主な要因としている。また中国向けの増加は、春節(旧正月)に向けた早めの買い付けを要因に挙げているが、安価な南米産牛肉や米国の干ばつにより生産量が増加している米国産牛肉の輸入増により、中国市場における豪州産牛肉のシェアは縮小しているとしている。


 
(調査情報部 国際調査グループ)