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海外需給動向【豚肉/米国】畜産の情報 2022年12月号

22年8月の豚肉輸出量、日本向けが大幅に減少

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飼養頭数、前年同月比1.4%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年9月1日時点の豚飼養頭数は、7380万頭(前年同月比1.4%減)と3年連続で減少した(表1)。内訳を見ると、繁殖豚は615万2000頭(同0.6%減)、肥育豚は6764万8000頭(同1.5%減)といずれも減少している。また、6〜8月期の分娩母豚頭数および産子数も減少したものの、1頭当たりの産子数は11.13頭と前年並みとなった。飼養頭数の減少が続いている要因についてUSDAは、世界経済の先行きが不透明な中で、カリフォルニア州法(注1)の施行やその他の州でも同様の飼養規制強化の動きが見られることから、生産者は養豚産業への影響を懸念し増頭意欲が低下していると分析している。

(注1) 海外情報「母豚の飼育環境規制強化に関するカリフォルニア州法の施行が停止(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003178.html)を参照されたい。

 
豚肉供給量が増加し、卸売価格は下落
 2022年3〜5月に分娩された肥育豚が出荷適齢期を迎える中でと畜頭数が増え、さらに1頭当たりの枝肉重量も増加したことで、8月の豚肉生産量は104万5000トン(前年同月比4.1%増)とやや増加した。国内の豚肉需要は引き続き堅調であるが、豚肉供給量が増加したことから、22年8月の豚肉卸売価格は100ポンド当たり116.99米ドル(1キログラム当たり384.97円:1米ドル=149.26円(注2)、同2.0%安)と下落に転じた(図)。

(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年10月末TTS相場。


 
 22年8月の豚肉輸出量、前年同月比2.6%減
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年8月の豚肉輸出量は23万2400トン(前年同月比2.6%減)とわずかに減少し、22年1〜8月の累計の豚肉輸出量は188万400トン(前年同期比14.8%減)とかなり大きく減少した(表2)。8月の輸出量を主要輸出先別に見ると、他通貨と比較しメキシコペソ相場が安定して推移する中で、メキシコ向けが8万8600トン(前年同月比3.9%増)と引き続き好調、韓国向けは1万8700トン(同39.2%増)と大幅に増加した。また、22年に入り中国国内の豚肉価格の高騰を背景に、中国・香港向けは2万9700トン(同8.8%増)とかなりの程度増加し、今年に入り、初めて前年同月を上回った。一方、記録的な円安が進み、日本では、EUなど他国からの豚肉輸入量が増えたことで、日本向けが3万6800トン(同20.1%減)と大幅に減少した。USDAによると、長引く米ドル高の影響などにより、23年以降も主要輸出先における米国産豚肉の需要低下が見込まれ、23年の豚肉輸出量は前年を下回ると予測されている。

 
(調査情報部 伊藤 瑞基)