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海外需給動向【豚肉/メキシコ】畜産の情報 2023年2月号

23年の豚肉生産量は前年比4.6%増の見通し

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豚肉生産量は引き続き増加と予測

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は9月6日、2023年のメキシコの豚肉需給見通しを発表した。これによると、23年の豚肉生産量は、豚の飼養管理技術の向上による離乳子豚頭数の増加などにより160万5000トン(前年比4.6%増)と、やや増加が見込まれている(表1)。また、国内外の旺盛な需要により、同年の輸出量は33万トン(同10.0%増)とかなりの程度増加し、消費量は255万トン(同2.6%増)とわずかに増加が見込まれている。特に、消費についてはCOVID-19まん延からの経済活動再開に伴い外食などでの需要が高まっているほか、インフレの影響により、バラエティミートや切り落としといった、手ごろな価格で購入できる部位が好まれるようになっている。こうした低価格部位を好む傾向は、少なくとも23年の前半まで続くとみられている。

 
豚枝肉価格は前年を大幅に上回り推移
 メキシコ国家情報市場統合システム(SNIIM)によると、2022年の生体豚価格は、6月以降、インフレや飼料価格の高騰を受けて高値で推移しており、11月は1キログラム当たり48.15ペソ(376円:1ペソ=7.81円(注))と、前年同月比27.4%高となった(図1)。また、同月の豚枝肉価格についても、堅調な生体豚価格と需要を反映し同28.0%高の64.00ペソ(500円)と高水準で推移した(図2)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年12月末TTS相場。
 




 このような中でメキシコ政府は10月3日、インフレ抑制のため、食品輸入・流通関係企業との間で「インフレと食料不足に対応する協定(APECIC)」を締結した。協定には、輸入手続きの簡素化などにより食料品の輸入を促進し、食料品価格の抑制を図るといった内容が盛り込まれている。現地報道によると、11月前半の豚肉の小売価格は前年同期比9.2%高、鶏肉は同22.1%高など価格上昇が続いており、APECICによる畜産物価格の抑制効果は、限定的なものにとどまっているとされている。

 1〜9月の豚肉輸出量は減少傾向で推移
 USDA/FASによると、2022年1〜9月の輸出量は15万100トン(前年同期比14.6%減)と、かなり大きく減少している(表2)。
 輸出先別に見ると、日本向けが10万8900トン(同12.8%増)、米国向けが2万7100トン(同27.4%増)とそれぞれ大きく増加しているのに対し、中国向けは同国内のアフリカ豚熱の発生による生産減からの回復に伴い7900トン(同85.2%減)と前年同期の6分の1以下に減少し、全体の輸出量減少の要因となった。


(調査情報部 小林 大祐)