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海外需給【牛肉/豪州】畜産の情報 2024年2月号

と畜頭数および牛肉輸出量は高水準で推移

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23年12月末の肉牛価格、出荷頭数の増加により下落
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2023年12月上旬までの上昇基調から下落に転じ、直近12月26日時点の同価格は1キログラム当たり456豪セント(451円:1豪ドル=98.94円(注))となった(図1)。現地報道および豪州気象局(BOM)によると、エルニーニョ現象に起因する乾燥予想に反し、11月は豪州の広範囲で一定量の降雨が記録されたことで、牧草の確保が可能との見通しから、牧草肥育業者の需要が高まり肉牛価格も上昇していたが、家畜市場への出荷頭数が増加したことで下落に転じたとされている(図2)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末TTS相場。





 
23年12月の成牛と畜頭数、減少基調も依然高水準
 2023年12月第3週の成牛と畜頭数は、11万6695頭(前月同週比11.9%減)とかなり大きく減少したが、依然として高水準で推移している(図3)。現地報道によると、(1)11〜12月の降雨による一部食肉処理施設での稼働時間の制約(2)食肉検査官らの賃金をめぐる労働争議(3)新型コロナウイルス感染症(COVID−19)やインフルエンザ罹患による従業員の欠勤−などが操業に支障を来し、と畜頭数の減少につながったとされている。

 
23年11月の牛肉輸出量、米国向けを中心に高水準を維持
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2023年11月の牛肉輸出量は、9万3802トン(前年同月比34.6%増)となり、前月比では10.8%減少したものの、前年同月比では大幅に増加した(表)。


 
 輸出先別では、米国向けが同国の牛群再構築に伴う牛肉生産量減少を背景に、1万9539トンと前年同月比2倍となっている。現地報道によると、24年は昨年以上に米国向け輸出量が増加するとされており、これまで米国向け輸出の主な製品であったハンバーガー用の冷凍の牧草肥育牛肉などに加え、今後は冷蔵の穀物肥育牛肉の輸出量も増加すると見込まれている。引き続き米国の牛肉生産量の減少が見込まれる中で、外食産業からの牛肉需要が高いことから、豪州産やブラジル産の穀物肥育牛肉への代替が検討されているとしている。また輸出先第2位の韓国向けは、米国からの牛肉輸出量の減少により、豪州産牛肉に切り替える動きがあり、1万8117トン(同36.2%増)と大幅に増加している。
 
(調査情報部 国際調査グループ)