23/24年度の牛と畜頭数、2カ月連続で増加
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年11月の牛と畜頭数は26万9799頭(前年同月比4.3%増)とやや増加し、2カ月連続で前年同月を上回った(図)。と畜頭数の内訳では、経産牛(4万1938頭、同0.4%減)を除き、去勢牛(8万5390頭、同6.1%増)、雄牛(7万1716頭、同0.5%増)、未経産牛(7万755頭、同9.2%増)がいずれも増加した。また、23/24年度(10月〜翌9月)の11月までの累計でも44万5530頭(前年同期比4.4%増)とやや増加し、同期実績では過去最高を記録した。この要因について現地報道では、エルニーニョ現象の影響による夏季の干ばつを懸念した生産者が、早期出荷を進めたことなどが挙げられている。
23年12月の牛肉輸出量、米国向けが大幅増
Stats NZによると、2023年12月の牛肉輸出量は5万2805トン(前年同月比18.1%増)と前年同月を大幅に上回った(表1)。輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは2万1193トン(同13.6%増)とかなり大きく増加したが、コロナ禍で輸出需要が減少した前年の反動もあり、過去3カ年平均(2万1000トン)並みとなった。また、米国向けは1万9485トン(同44.6%増)と大幅に増加した。米国内での牛群再構築が進む中で、冷蔵および冷凍品ともに好調な輸出量を維持しており、今後も加工向けを中心に堅調な輸出が続くと見込まれている。
23/24年度の牛肉生産量と輸出量、と畜頭数減少で前年割れの見込み
ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)の見通しによると、2023/24年度の輸出向け牛と畜頭数は、258万5000頭(前年度比4.1%減)とやや減少が見込まれている(表2)。この要因についてBLNZは、羊肉価格の下落を受けて、肉用牛と羊を飼養する複合農家の多くが羊の淘汰を進め、肉用牛を保留する傾向が強まっているためとしている。また、22/23年度は酪農部門において、生産者支払乳価の下落や生産コストの高騰から経産牛や未経産牛の淘汰が進められたことで、23/24年度は雌牛の保留傾向が強まり、同部門からのと畜向け出荷頭数の減少が見込まれることなども挙げている。これにより、同年度の牛肉生産量は66万3000トン(同3.6%減)、牛肉輸出量も46万7000トン(同3.7%減)と、いずれも前年割れが見込まれている。
(調査情報部 工藤 理帆)