23年の豚と畜頭数は前年比0.5％増

23年12月の豚と畜頭数、前年同月比1.5％増

　カナダ農務・農産食品省（AAFC）によると、2023年12月の豚と畜頭数は198万1000頭（前年同月比1.5％増）、同年の累計（1～12月）では2177万頭（前年比0.5％増）とわずかに増加した（図1）。現地情報によると、生産費の高騰や干ばつの影響から、同国西部で母豚のと畜が進んでいることなどが要因とされている。24年の豚肉生産量について米国農務省海外農業局（USDA/FAS）は、母豚頭数の縮小により肥育豚と畜頭数が減少するものの、平均枝肉重量の増加がいくらか相殺し、203万トン（前年比0.5％減）と見込んでいる。

23年12月の肥育豚価格、前年同月比5.4％安

　AAFCによると、2023年12月の肥育豚価格は100キログラム当たり215カナダドル（2万4007円：1カナダドル＝111.66円^（注）、前年同月比5.4％安）とやや、23年の平均価格は同237カナダドル（2万6463円、前年比7.3％安）とかなりの程度下落した（図2）。ただし、23年の豚と畜頭数が増加となる中で、過去5カ年平均比では11.2％高となった。この要因として、国内牛肉価格が高騰する中、相対的に割安な豚肉の需要が堅調に推移していることが挙げられる。この結果、23年の平均豚肉期末在庫は7万9851トン（前年比9.2％減）と、かなりの程度減少している。

_{（注）三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。}

23年1～11月の豚肉輸出量、前年同期比8.4％減

　カナダ統計局（Statistics Canada）によると、2023年11月の豚肉輸出量は8万3900トン（前年同月比5.2％増）と、13カ月ぶりに前年同月を上回った（表）。一方、同年1～11月の累計では92万300トン（前年同期比8.4％減）とかなりの程度減少した。カナダの豚肉生産量の約6割が輸出に仕向けられているが、堅調な国内需要が輸出に影響しているとみられる。

　また、23年1～11月の生体豚輸出頭数（米国向け）は、カナダ国内のと畜場閉鎖などにより処理能力が限られる中、622万7000頭（同4.3％増）とやや増加した（図3）。24年の生体豚輸出頭数についてUSDAは、カナダの母豚飼養頭数の縮小や、米国での豚肉需要の低迷から、前年比10.6％減と見込んでいる。

（調査情報部　小林　大祐）