23年の生乳生産量、中国史上初の4000万トン超え
中国国家統計局によると、2023年の生乳生産量は前年比6.7%増の4197万トンとなり、同国史上初めて4000万トンの大台を超えた(図1)。
中国農業農村部は、23年4月に公表した「中国農業展望報告(2023−32)」(以下「展望報告」という)(注1)の中で、同年の生乳等生産量(注2)を4227万トン(前年比5.0%増)と予測していた。今回、生乳のみの生産量が4197万トンに達しており、他畜種由来の乳の生産量が過去3カ年平均で94万トンであることを考慮すると、展望報告の予測値を超える可能性が高くなっている(注3)。
(注2)牛由来の生乳のほか、ヤギやヤクなどの他畜種由来の乳を含む生産量。
(注3)2023年の生乳生産量4197万トンに、他畜種由来の乳の過去3カ年平均生産量である94万トンを加えた生乳等生産量は4291万トンとなる。
24年も生乳価格は下落基調を維持
中国農業農村部によると、2024年1月の生乳価格は1キログラム当たり3.66元(76.20円:1元=20.82円(注4)、前年同月比10.8%安)と前年同月をかなりの程度下回った(図2)。23年1月以降、ほぼ一貫して下落基調にある。
中国農業農村部は23年12月に公表した「農産物需給動向分析月報(2023年11月)」(以下「月報」という)の中で、生乳生産量が増加している一方、乳業各社が年末年始や春節に向けて乳製品の在庫積み増しを加速させているため、生乳価格は回復するとの見通しを示していたが、未だその兆しは見られない。
(注4)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。
23年の乳製品輸入量は大幅減
2023年の乳製品主要8品目の輸入量は、8品目中5品目で前年割れとなった(表)。このうち、全粉乳は43万1000トン(前年比38.5%減)と最も減少幅が大きくなった(図3)。輸入量の減少に関して、中国農業農村部は月報の中で、国内の生乳生産量増が継続し、供給過剰が顕在化したためとしている。
このような中、全粉乳をはじめチーズ、バターなど、中国にとって最大の乳製品輸入先であるニュージーランドからの乳製品輸入については、24年1月1日から関税が撤廃された(注5)。中国国内の需給が緩む中で、今後の乳製品輸入への影響が注目される。
(調査情報部 平山 宗幸)