国産トウモロコシ価格、弱含みながらも安定して推移と予想
中国農業農村部は2024年1月22日、「農産物需給動向分析月報(2023年12月)」を公表した。この中で、23年12月の国産トウモロコシ価格は前月比8.8%安と3カ月続けて下落した(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、供給面では収穫を終えた主産地からの潤沢な供給が伝えられている。需要面では、供給量の増加から価格が下落したことで、市場取引は活発な状況とされている。ただし、政府系穀物備蓄企業が国内各地でトウモロコシの買い付けを発表したため、価格の下落幅は大幅に縮小したとされている。今後、国内各地で順次買い付けが実施されるため、需給は均衡に向かい、価格は弱含みながらも安定した推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、23年12月が1キログラム当たり2.18元(45円:1元=20.82円(注))となった。その結果、国産と輸入との価格差は、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.48元(52円)となったことで、先月の同0.54元(11円)から同0.30元(6円)に縮小した。
国産大豆価格、需給の緩みから弱含みでの推移と予想
2023年12月の国産大豆価格は、前月同となった(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、供給面ではトウモロコシと同様に収穫を終えた主産地からの潤沢な供給が伝えられている。一方で、需要面では川下の動きが引き続き緩慢な状況にあるとされている。このため、今後の国産大豆価格は、弱含みでの推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、23年12月が1キログラム当たり4.86元(101円、前年同月比14.1%安)と前年同月をかなり大きく下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.70元(119円、同8.7%安)とかなりの程度下回った。国産大豆と輸入大豆との価格差は、同月の輸入大豆価格(山東省青島港引き渡し価格、課税後)が同4.84元(101円)となったことで、同0.86元(18円)とわずかに広がった。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べて高い水準で推移している。23年(1〜11月)の輸入量は8963万トン(前年同期比13.3%増)、輸入額は同1.5%増の541億5300万米ドル(8兆444億円:1米ドル=148.55円(注))と報告されている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。
23/24年度のトウモロコシ、大豆の生産量はともに前年度比増と予測
中国農業農村部は2024年1月12日、最新の「中国農産物需給状況分析」を公表した。この中で、23/24年度(10月〜翌9月)のトウモロコシ生産量の予測について、前月から61万トン上方修正の2億8884万トン(前年度比4.2%増)と見込まれている(表1)。今回の公表では、単収が前月から下方修正された一方、作付面積および収穫面積が上方修正されたことで、単収の減少分を補う形となった。また、輸入量および消費量が前月から据え置かれたことで、同年度のトウモロコシの過不足は1133万トンの余剰(同110.2%増)が見込まれている。
同年度の大豆生産量については、前月から5万トン下方修正の2084万トン(同2.8%増)と見込まれている(表2)。今回の公表では、単収が前月から下方修正される一方、作付面積および収穫面積が上方修正されたことで、トウモロコシと同様に単収の減少分を補う形となった。また、輸入量は前月から据え置かれたが、消費量(種子向け)が上方修正されたことで、同年度の大豆の過不足は94万トンの余剰(同80.2%減)が見込まれている。
23/24年度は、前年度に続いて中央政府から大豆の増産に全力を挙げるとの方針が打ち出されたこともあり、主産地での収穫が終了し生産量がほぼ確定する今回の公表が注目されていた。トウモロコシの生産量は過去最高を記録した前年度を更新し、大豆の生産量についても前年度増と見込まれるなど、良好な状況になっている。
(調査情報部 横田 徹)