24年7月の牛と畜頭数、前年同月比4.8%増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年7月の牛と畜頭数は、前年に比べて操業日数が多かったことなどにより272万2000頭(前年同月比4.8%増)とやや増加した。また、1頭当たりの平均枝肉重量が、382.8キログラム(同3.6%増)となったため、7月の牛肉生産量は103万7000トン(同8.5%増)とかなりの程度増加した(図1)。なお、1〜7月の牛肉生産量は708万2000トン(前年同期比0.2%減)となっている。
(注1)USDA/NASSが半年に一度公表する「Cattle」は米国政府の予算不足により、7月1日の飼養頭数のデータは集計・公表されなかった。
24年7月の肥育牛価格は前年同月比7.1%高
USDA/NASSによると、2024年7月のフィードロット導入頭数は170万頭(前年同月比5.8%増)とやや増加し、出荷頭数は185万5000頭(同7.7%増)とかなりの程度増加した。この結果、本年8月1日時点のフィードロット飼養頭数は1109万5000頭(前年同日比0.3%増)と前年同日並みとなった(図2)。国内のもと牛生産のひっ迫を、引き続き海外からの生体牛の輸入で補っており、同年1〜6月のフィードロットへ導入される肥育もと牛の輸入頭数は、81万5000頭(前年同期比18.6%増)と大幅に増加した。USDAは、輸入生体牛が増加している一方で、フィードロットのもと牛として未経産牛が前年並みに飼養されているため、牛群の再構築はさらに遅れる可能性があるとしている。
また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年7月の肥育牛価格は100ポンド当たり196.99米ドル(1キログラム当たり633円:1米ドル=145.80円(注2)、前年同月比7.1%高)とかなりの程度上回った(図3)。USDAは、今後の100ポンド当たりの肥育牛価格について上方修正したものの、第3四半期(7〜9月)は193米ドル(同620円)、第4四半期(10〜12月)は190米ドル(同610円)と弱含みで推移すると予測している。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年8月末TTS相場。
24年6月の牛肉輸出量、前年同月比2.4%減
USDA/ERSによると、2024年6月の牛肉輸出量は11万9524トン(前年同月比2.4%減)とわずかに減少し、1〜6月の累計では68万7085トン(前年同期比4.5%減)とやや減少した(表)。
6月の牛肉輸出量を輸出先別に見ると、日本向けは円安ドル高の中でもインバウンドなどの堅調な外食需要から2万6457トン(前年同月比7.6%増)とかなりの程度増加した。一方、韓国向けは2万3549トン(同10.1%減)、中国向けは1万6372トン(同24.9%減)とそれぞれ減少した。
24年の牛肉輸出量についてUSDAは、日本やメキシコなどの主要市場の需要が堅調であることを踏まえ、前月予測から1万5000トン引き上げ、133万4000トン(前年比3.2%減)と見込んでいる。
(調査情報部 中島 勝紘)