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海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2024年10月号

24年上半期の生乳出荷量、前年同期をわずかに上回る

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24年6月の生乳出荷量、前年同月比1.0%増
 欧州委員会によると、2024年6月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1263万6000トン(前年同月比1.0%増)と前年同月をわずかに上回った(表)。主要生産国別に見ると、フランス(同2.9%増)、ポーランド(同3.8%増)およびイタリア(同2.9%増)は前年同月を上回った一方で、オランダ(同2.0%減)は4カ月連続、アイルランド(同1.3%減)は16カ月連続でいずれも前年同月を下回った。


 
 また、24年第2四半期(4〜6月)の生乳出荷量は、第1四半期(前年同期比1.5%増)に続き、同1.0%増の3904万3000トンとわずかに増加した(図1)。この要因として、第1四半期から継続している(1)比較的高い水準で安定している乳価(2)前年に比べて良好な気象条件−が挙げられる。
 一方で、アイルランドでは天候不順に加え、オランダとともに硝酸塩に関する規制の影響から、上半期(1〜6月)の生乳出荷量はいずれも前年同期比減となった。
 
 24年7月の生乳取引価格、3カ月連続で前年同月を上回る
 欧州委員会によると、2024年7月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり46.23ユーロ(1キログラム当たり73.48円:1ユーロ=158.94円(注)、前年同月比5.7%高)と3カ月連続で前年同月を上回った(図2)。生乳取引価格は昨年12月以降、同46ユーロ前後と安定して推移している。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年8月末TTS相場。

 
24年上半期の主要乳製品生産量、チーズなどで前年同期比増
 欧州委員会によると、2024年上半期の主要乳製品の生産量は、チーズ(前年同期比3.4%増)、濃縮乳(同5.0%増)およびクリーム(同4.0%増)が増加した一方、脱脂粉乳および全粉乳は前年同期並み、バター(同2.0%減)は前年同期を下回った(図3)。EU域内および国際市場におけるチーズおよびクリームの堅調な需要から両乳製品の生産量が増えたことにより、バター向け生乳供給量が減ったことがその要因とみられる。生乳出荷量の減少が続くアイルランドの同上半期のEU域外向けバター輸出量は4万2109トン(同6.9%減)とEU全体の34.5%を占め、同国のバター輸出量の減少がEU全体のバターの輸出量の減少につながっている。
 8月25日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、主要乳製品のいずれも前年同期を上回り、中でもバターは、100キログラム当たり698ユーロ(1キログラム当たり1109円、同56.7%高)と前年同期を大幅に上回り、22年10月以来の1トン当たり7000ユーロ(111万2580円)台に迫っている(図4)。




 
 (調査情報部 渡辺 淳一)