2月の全国の生乳生産量、7カ月ぶりに前年同月を下回るも、うるう年修正では実質増加

北海道の生乳生産量、前年並みにとどまる

　令和7年2月の生乳生産量は、58万3333トン（前年同月比1.8％減）と7カ月ぶりに前年同月を下回った（図1）。地域別では、北海道が33万6531トン（同0.3％増）となり、7カ月連続で前年同月を上回るも、当月は前年並みにとどまった。また、都府県では24万6802トン（同4.6％減）と、8カ月連続で前年割れとなり、特に当月は減少率が拡大した。

　前年がうるう年であったため、統計上は総じて減少傾向にあったが、前年同月を28日間として試算すると、本年2月の前年同月比は、全国が1.7％増、北海道が3.9％増となった。都府県では1.1％減となったが、減少率は縮小した。

　2月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは29万2829トン（同2.4％減）と、5カ月ぶりに前年同月を下回った。このうち、業務用向けについては2万3714トン（同1.7％減）と3カ月連続で前年同月を下回った。

　乳製品向けは28万6972トン（同1.1％減）とわずかに減少し、7カ月ぶりに下回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは5万6324トン（同3.1％減）とやや下回り、チーズ向けは3万5140トン（同2.0％減）と2カ月連続で下回った。一方、脱脂粉乳・バター等向けは、15万3542トン（同0.2％増）と前年同月並みとなった（農畜産業振興機構調べ「交付対象事業者別の販売生乳数量等」）。

　しかしながら、生乳生産量と同様に、前年同月を28日間として試算すると、本年2月の前年同月比は、牛乳等向けが1.1％増、業務用向けで1.9％増となった。また、乳製品向けでは、クリーム向けが0.3％増、チーズ向けが1.5％増、脱脂粉乳・バター等向けで3.8％増となり、乳製品全体でも2.5％増となった。

全国の牛乳生産量、5カ月ぶりに前年同月を下回る

　2月の牛乳等生産量を見ると、飲用牛乳等のうち牛乳は、23万7021キロリットル（前年同月比2.1％減）と5カ月ぶりに前年同月を下回った。一方、成分調整牛乳は前年割れが継続しており、1万5607キロリットル（同9.2％減）とかなりの程度下回った。加工乳については、1万1722キロリットル（同0.4％増）と2カ月連続上回った。また、はっ酵乳は7万9906キロリットル（同3.4％増）と8カ月連続上回った。

　牛乳等生産量についても前年同月を28日間として試算すると、本年2月の前年同月比は、牛乳が1.4％増、加工乳が4.0％増、はっ酵乳が7.1％増となった。また、成分調整牛乳は5.9％減となり、減少率は縮小した。

2月のバター在庫量、前年同月比11.5％増

　2月のバターの生産量は6262トン（前年同月比0.4％減）と、わずかながらも7カ月ぶりに前年同月を下回った（図2）。出回り量は6933トン（同3.1％減）と前年同月を2カ月連続下回った（農畜産業振興機構調べ）。2月末の在庫量について、2万5899トン（同11.5％増）となり、6カ月連続前年同月を上回った（図3）。

　なお、生産量について、前年同月を28日間として試算すると、本年2月の前年同月比は3.1％増となった。

2月の脱脂粉乳生産量、前年同月比0.5％減

　2月の脱脂粉乳の生産量は、1万3179トン（前年同月比0.5％減）と前年同月からわずかに減少し、バター同様、7カ月ぶりに下回った（図4）。一方、出回り量は1万2248トン（同12.2％減）とかなり大きく下回った（農畜産業振興機構調べ）。在庫量は、在庫低減対策の効果により、令和4年10月以降前年同月を下回って推移していたが、6年12月に増加に転じ、2月末は5万3853トン（同4.0％増）と、3カ月連続で積み増された（図5）。

　なお、生産量について、前年同月を28日間として試算すると、本来2月の前年同月比は3.0％増となった。

2月のバターの消費者物価指数、前年同月比0.4％上昇

　総務省が令和7年3月21日に発表した2月の消費者物価指数（令和2年＝100）によると、牛乳は119.7（前年同月比0.0％上昇）と前年同月並みとなった（図6）。ヨーグルトは111.7（同1.1％低下）とわずかに下回り、バターは119.6（同0.4％上昇）とわずかに上回った。それぞれ、5年8月の飲用向けおよびはっ酵乳向け乳価の引き上げ、4月と12月の加工用向け乳価の引き上げに伴う価格改定の影響が落ち着き、ほぼ横ばいで推移した。

（酪農乳業部　天野　明日香）