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海外需給【牛肉/ウルグアイ】畜産の情報 2025年5月号

24年の牛と畜頭数、牛肉輸出量ともに3年連続の減少

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24年の牛と畜頭数は前年比2.2%減
 ウルグアイ食肉協会(INAC)によると、2024年の牛と畜頭数は225万5000頭(前年比2.2%減)と前年をわずかに下回り、3年連続で減少した(図1)。この要因についてINACは、24年の秋期は多雨となり、冬期は一転して乾燥して寒冷な日が続くなど天候不順となったことで、牛の増体遅れにより農家が牛の出荷を控えざるを得なかったことがあるとしている。25年については、保留されていた牛が出荷されることで、と畜頭数は前年から増加すると見込んでいる。
 


 
24年の牛肉輸出量は前年比3.0%減、中国向けを中心に3年連続で減少
 2024年の牛肉輸出量は34万9027トン(前年比3.0%減)と前年をやや下回り、3年連続で減少した(表)。また、平均輸出単価は、1キログラム当たり5.71米ドル(861円:1米ドル=150.52円(注)、前年比1.9%高)と前年をわずかに上回った。
 輸出先別に見ると、最大の中国向けは14万9527トン(同30.8%減)と前年を大幅に下回り、輸出量全体に占める割合は前年の60.0%から42.8%へと2年連続で低下した。また、同国向けの平均輸出単価は、同4157米ドル(同626円、同8.2%安)と前年をかなりの程度下回った。これは、中国からの引き合いが弱いことや、中国市場におけるブラジル産牛肉との競合などによるものとされる。このため、高品位部位を中心に中国向け以外の輸出先の多角化が進められており、米国、オランダといった従来の輸出先に加え、イスラエルやロシア向けが増加したことにより、輸出量全体の落ち込みを一部相殺した。イスラエル向けは、コーシャミート(主に旧約聖書に基づくユダヤ教の食事規則により製造・調理された肉)の輸出体制が整っている中で、24年1月8日、これまでの骨なし牛肉に加え、骨付き牛肉の輸出が認められたことで大きく増加した。ロシア向けは、同国内の牛肉需要が増加している中で、国内の牛肉供給量の減少(小規模農家での自家消費の増加による肉牛飼養頭数の減少や、雌雄判別技術の普及)から、同様に輸出を大きく伸ばしている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年3月末TTS相場。
 


 
去勢牛生産者出荷価格、24年1月ごろから回復傾向で推移
 INACによると、直近(2025年3月第3週)の去勢牛生産者出荷価格は、前年同月同週比20.3%高の1キログラム当たり4.50米ドル(677円)となった(図2)。と畜頭数の減少に伴い肉牛の需給がひっ迫基調で推移したことで、去勢牛生産者出荷価格は上昇傾向にある。今後は、肉牛出荷が増えることで、と畜頭数の増加が見込まれるため、同価格は落ち着くとみられている。

 
(調査情報部 平石 康久)