24年のEU豚肉生産量、主要生産国の多くで増加
欧州委員会によると、2024年12月の豚肉生産量(EU27カ国)は、173万1870トン(注1)(前年同月比2.2%増)とわずかに増加した。24年累計(1〜12月)の豚肉生産量を見ると、2104万4600トン(前年比2.0%増)とわずかに増加した(図1)。
24年の豚肉生産量を主要生産国別に見ると、ポーランドはアフリカ豚熱(ASF)発生の影響から改善が見られ母豚飼養頭数が増加したことで、前年比7.7%増となった(表1)。
デンマークは、と畜場の閉鎖などにより22年、23年と減産傾向が続いていたが、24年は1頭当たりの枝肉重量の増加により同2.7%増となった。
しかしながら、25年のEU豚肉生産量については、米国農務省海外農務局(USDA/FAS)の分析によると、(1)子豚価格の下落による母豚飼養頭数の減少(2)輸出需要の低迷による豚肉価格の軟調―などからと畜頭数の減少が見込まれるため、前年比0.9%の減少に転じるものと予測されている。
25年2月の豚枝肉卸売価格、緩和懸念から続落も月末以降は反転
欧州委員会によると、2025年2月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、1キログラム当たり1.80ユーロ(295円:1ユーロ=163.58円(注1)、前年同月比13.1%安)となった(図2)。EUの豚肉生産量の増加や、英国などがドイツでの口蹄疫発生を受けて同国産豚肉などの輸入を停止したことによるEU域内の豚肉需給緩和の懸念から、1月からの下落基調が2月中旬まで続いたことが影響した(注2)。ただし、2月中旬以降、スペイン産豚肉などに対する輸出需要の増加から上昇に転じており、直近3月17日の週は同1.85ユーロ(302円)となった。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年3月末TTS相場。
24年の豚肉輸出量、中国向けが顕著に減少
欧州委員会によると、2024年のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、201万1358トン(前年比4.1%減)とやや減少した(表2)。中でも、主要豚肉輸出国であるスペインやデンマークが、主要輸出先の中国での豚肉需給緩和から、同国向け輸出を大きく減少(スペインは同14.5%減、デンマークは同20.8%減)させたことなどが影響した。
(調査情報部 藤岡 洋太)