25年2月の全米総合平均乳価、前年同月比14.6%高
米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、2025年2月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり23.6米ドル(1キログラム当たり78円:1米ドル=150.52円(注1)、前年同月比14.6%高)とかなり大きく上昇した(図1)。また、同月の酪農マージン(注2)は、乳価の上昇と飼料費の下落により、同13.12米ドル(同44円、同39.0%増)と大幅に増加した。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2025年3月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補填が発動される。
25年2月の生乳生産量は前年同月比2.6%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年2月の乳用経産牛飼養頭数は940万5000頭(前年同月比0.7%増)とわずかに増加した(図2)。同飼養頭数は収益性の改善から、24年後半以降は増加傾向で推移している。
一方、同月の生乳生産量は、飼養頭数が増加する中で、前年がうるう年であった影響などにより1頭当たり乳量(同3.1%減)とやや、生乳生産量は804万トン(同2.6%減)とわずかに、それぞれ減少した(図3)。なお、主要生乳生産州であるカリフォルニア州では、乳牛の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)感染の影響により、同7.1%減と目立った減少が続いている。
25年1月の乳製品輸出量、脱脂粉乳が大幅減もチーズとバターは好調
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2025年1月の乳製品輸出量は、乳脂肪分ベースでは前年同月比37.2%増と大幅に増加した一方、無脂肪ベースでは同4.9%減とやや減少した。品目別に見ると、脱脂粉乳(NDM)が4万6800トン(同20.2%減)と大幅に減少した(表)。この要因についてアメリカ乳製品輸出協会(USDEC)は、生産量が減少する中で、輸出競合相手のEUやニュージーランドと比較して高値となったことを挙げている。
一方、チーズは、日本や韓国、東南アジア地域の需要増から、4万6700トン(同21.9%増)、バターも3200トン(同40.7%増)と、いずれも大幅に増加した。また、主に製パンや製菓などに用いられるバターオイル(AMF)も、トランプ政権による追加関税措置を見据えた在庫確保の動きから、カナダやメキシコ向けが大幅に増加し、同6.5倍と大幅に増加した。
(調査情報部 伊藤 瑞基)