25年1月の生乳出荷量は前年同月比0.3%減、上位3カ国で減少
欧州委員会によると、2025年1月の生乳出荷量(EU27カ国)は1168万8000トン(前年同月比0.3%減)と前年同月をわずかに下回った(表1、図1)。主要生産国別に見ると、ポーランド(同3.0%増)やイタリア(同1.0%増)が前年同月を上回る中で、ドイツ(同2.2%減)やフランス(同0.9%減)、オランダ(同1.8%減)などは、いずれも前年同月を下回った。現地関係者によると、1月下旬時点でスペインやイタリアなど地中海沿岸や東欧を中心に数週間の干ばつが継続しており、今後の放牧環境の悪化による生乳生産量の減少が懸念されている。
一方、同月の生乳の乳脂肪分割合(EU27カ国の平均)は同1.0%増となり、ドイツ(同0.2%減)を除く主要生産国で前年同月を上回った。
25年2月の生乳取引価格は前年同月比15.8%高、10カ月連続の上昇
欧州委員会によると、2025年2月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり53.73ユーロ(1キログラム当たり87.89円:1ユーロ=163.58円(注1)、前年同月比15.8%高)と10カ月連続で前年同月を上回った(図2)。24年12月の同54.56ユーロから弱含みとなっているものの、高水準にあるバターなどの乳製品価格にけん引される形で好調を維持している。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年3月末TTS相場。
25年3月のバター価格は前年同期比31.7%高、高値圏を維持
欧州委員会によると、2025年3月23日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり740ユーロ(1キログラム当たり1210円、前年同期比31.7%高)と前年同期を大幅に上回り、高値が継続している。チーズは同469ユーロ(同767円、同20.9%高)と同じく前年同期を大幅に上回ったが、前月比では5.8%安とやや下落した。また、全粉乳は同438ユーロ(同716円、同23.6%高)、脱脂粉乳は同252ユーロ(同412円、同4.6%高)といずれも前年同期を上回った(図3)。
24年末の乳用経産牛飼養頭数は前年比3.4%減、9年連続で減少
欧州委員会によると、2024年12月時点の乳用経産牛飼養頭数(EU27カ国)は、1922万6000頭(前年比3.4%減)と9年連続で減少した(表2)。同飼養頭数はすべての主要生産国で前年を下回り、多くの国では23年に比べて減少率が拡大した。これはEU域内外における24年の牛肉需要と堅調な牛肉価格を背景に、と畜頭数が増加したことによる。EU全体としては、1頭当たりの乳量(注2)が7567キログラム(同4.3%増)にやや増加し、24年の生乳出荷量(同0.6%増)は前年をわずかに上回った。
(注2)生乳出荷量を飼養頭数で除して求めたもの。
(調査情報部 渡辺 淳一)