25年3月の生乳価格、前年同月比12.8%安
中国農業農村部によると、2025年3月の生乳価格は1キログラム当たり3.08元(64.34円:1元=20.89円(注1)、前年同月比12.8%安)と前年同月をかなり大きく下回った(図1)。直近3カ月は各月当たり0.01元(0.2円)の下落で推移するなど生乳価格の下落幅は縮小しているが、下げ止まりは見られず、酪農部門にとって厳しい状況が続いている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年3月末TTS相場。
生乳供給量について中国農業農村部は、25年3月に公表した「農産物需給動向分析月報(2025年2月)」の中で、乳牛飼養頭数は前年比4.8%減少しているが、1頭当たり生乳生産量は増加しているため、十分としている。一方で、人口の減少や経済低迷などを受け、旧正月(春節、25年は1月29日)後の乳製品需要が弱いことから、生乳価格は、引き続き低水準になると予測している。
25年の乳製品輸入量は増加傾向
2025年1〜2月期の乳製品主要8品目の輸入量は、8品目中4品目で大幅に、1品目でかなり大きく、いずれも前年同期を上回り、輸入額では全品目で前年同期を上回った(表)。
このうち、ホエイについては、主に養豚向け飼料原料利用が多く、近年、乳製品輸入量(製品重量)全体に占める割合が3割程度にまで増加しており、中国国内の繁殖雌豚頭数が増加傾向にあることなどを受け(注2)、11万3525万トン(前年同期比32.6%増)と大幅に増加した(図2)。また、これまでニュージーランドやドイツからの輸入が大部分を占めていた飲用乳は、トルコやフランスなどからの輸入量が大きく増加したことなどを受けて大幅に増加した。製パンや製菓からの需要が堅調なバターの輸入量も大幅に増加した。
25年の中国の乳製品需給についてオランダの農協系金融機関ラボバンクは、24年12月および25年3月に公表した四半期報告の中で、中国の乳製品需要は引き続き低迷するものの、25年の生乳生産量が前年比1.5%減少する見通しなどを受け、乳製品輸入量は同2.0%増加すると予測している。
(調査情報部 平山 宗幸)