25年2月の国産トウモロコシ価格、輸入価格の上昇で価格が逆転
中国農業農村部は2025年3月21日、「農産物需給動向分析月報(2025年2月)」を公表した。この中で、25年2月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに上昇した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、供給面では輸入量が減少して国産が中心となり、供給に一定の制約が生じているとみられる。需要面では、春節(旧正月)後、飼料およびコーンスターチ製造企業などが徐々に生産を再開したことに加え、養豚部門の利益改善などを背景に、これら企業による活発な在庫拡充が報告されている。さらに、政府によるトウモロコシ貯蔵の強化や、多くの穀物備蓄倉庫がトウモロコシの購入価格を引き上げたことが相まって、国産トウモロコシ価格は上昇している。このため、短期的には引き続き上昇と見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、養豚主産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、25年2月が1キログラム当たり2.30元(48円:1元=20.89円(注)、前月比6.5%高)とかなりの程度上昇した。同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)も同2.24元(47円、同3.7%高)とやや上昇したものの、輸入トウモロコシの上昇幅が大きかったことで、22年11月以来、国産価格が輸入価格を上回っていた状況が逆転した。
25年2月の国産大豆価格、春節後の需要増からわずかに上昇
2025年2月の国産大豆価格は、前月からわずかに上昇した(図2)。同月の大豆需給を見ると、春節後から飼料向けの大豆油かす需要が高まっており、これが搾油企業の利益率改善にもつながっている。また、企業などによる国産大豆の買い取り価格の引き上げや、新規買い取り拠点の拡充などが、現物価格と先物価格に好影響を与えている。短期的には、気温の上昇や耕作準備などの要因から、農家の販売意欲がさらに高まる一方、好調な需要から市場在庫量が減少することで、国産大豆価格は安定して推移すると見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、25年2月が1キログラム当たり3.86元(81円、前年同月比18.9%安)と前月から上昇に転じたものの、前年同月を大幅に下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同4.32元(90円、同17.0%安)と同じく上昇に転じたものの、前年同月を大幅に下回った。同月の輸入大豆価格(山東省青島港引き渡し価格、課税後)が同3.82元(80円)となったことで、輸入と国産の価格差は前月の同0.56元(12円)から同0.50元(10円)に縮小した。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年3月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)