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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2025年7月号

25年4月の牛肉生産量はわずかに減少、牛肉卸売価格は高値で推移

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25年4月の牛肉生産量は前年同月比2.7%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年4月の牛と畜頭数は257万2000頭(前年同月比5.8%減)とやや減少した。一方、同月の1頭当たり枝肉重量は397.8キログラム(同3.4%増)とやや増加したことで、同月の牛肉生産量は101万7000トン(同2.7%減)とわずかな減少にとどまった(図1)。2025年の牛肉生産量についてUSDAは、メキシコからの肥育もと牛の輸入停止(注1)の影響などを踏まえ、1198万5000トン(前年比2.1%減)とわずかな減少を見込んでいる。
 また、4月のフィードロット導入頭数は161万3000頭(前年同月比2.6%減)、出荷頭数は182万5000頭(同2.5%減)と、いずれもわずかに減少した。この結果、同年5月1日時点のフィードロット飼養頭数は1137万6000頭(同1.5%減)となった。

 
(注1)米国農務省動植物衛生検査局(USDA/APHIS)は2025年5月11日、メキシコからの生体牛輸入の再度停止を発表した。USDAは同停止措置が続いた場合、25年以降に牛肉生産量の減少が見込まれるとしている。詳細は海外情報「2025年、26年の牛肉生産量は減少見込み(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004123.html)をご参照ください。
 

 
 
25年4月の牛肉卸売価格、前年同月比12.3%高
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2025年4月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー(注2))は牛肉生産量の減少などから、100ポンド当たり335.73米ドル(1キログラム当たり1072円:1米ドル=144.87円(注3)、前年同月比12.3%高)と前年同月をかなり大きく上回り、前月比でも3.9%高とやや上昇した(図2)。同月の肥育牛価格は、同209.99米ドル(同671円、同13.0%高)と前年同期をかなり大きく上回り、2025年は前年を上回る水準で推移している(図3)。
 
(注2)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
 




 
 
25年3月の牛肉輸出量は前年同月比0.1%減
 USDA/ERSによると、2025年3月の牛肉輸出量は11万6012トン(前年同月比0.1%減)と前年同月並みとなり、同年第1四半期(1〜3月)の累計では、国内牛肉価格の高騰などから32万3562トン(前年同期比2.7%減)とわずかに減少した(表)。輸出先別に見ると、日本向けは2万6124トン(同0.5%増)、メキシコ向けは1万2149トン(同5.7%増)といずれも増加した。一方、韓国向けは2万5725トン(同5.8%減)、中国向けは1万8939トン(同1.9%減)といずれも減少した。中国向けについては、中国海関総署(GACC)による米国内の中国向け牛肉輸出施設再認定の動きが見られておらず(注4)、今後の輸出への影響が懸念されている。
 
(注4)5年ごとの認可登録の更新時期を迎えていた3月、GACCにより豚肉・鶏肉の輸出施設の認可登録が更新された一方で、牛肉の輸出施設の一部については未更新の状況が続いている。詳細は海外情報「米国農務省、停止状態の中国向け食肉輸出認可施設の登録更新を公表(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004076.html)をご参照ください。
 




 
(調査情報部 大西 未来)