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海外需給【牛肉/中国】畜産の情報 2025年7月号

牛肉生産量は引き続き増加も価格はやや上昇、輸入量は減少

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25年第1四半期の牛肉生産量、前年同期比2.7%増
 中国国家統計局によると、2024年の牛肉生産量は、生乳価格の下落から乳用牛の淘汰とうたが進んだことなどにより、前年比3.5%増の779万トンとなった(図1)。また、25年第1四半期(1〜3月)の牛肉生産量は、引き続き酪農部門からの牛の供給が増えたことで、前年同期比2.7%増の191万トンとなった。
 25年の牛肉生産量について中国農業農村部は、同年4月に公表した「中国農業展望報告(2025−2034)」(注1)(以下「展望報告」という)の中で、24年の牛肉価格の下落などを受けて畜産農家の廃業が進んだことなどから、750万トン(前年比3.7%減)とやや減少すると予測している。
 
(注1)海外情報「中国農業展望報告(2025−2034)を発表(牛肉編)(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004143.html)をご参照ください。
 



 
25年5月の牛肉卸売価格、前年同月比3.5%安
 2024年の牛肉卸売価格は、牛肉生産量の増加や安価な輸入牛肉の輸入量増加などを背景に下落基調で推移した。この傾向は25年3月まで続いたが、4月以降は上昇傾向に転じ、5月の牛肉卸売価格は1キログラム当たり61.5元(1249円:1元=20.31円(注2)、前年同月比3.5%安)となった(図2)。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
 



 
 この要因について中国農業農村部は、25年5月に公表した「農産物需給動向分析月報(2025年4月)」の中で、輸入牛肉の価格が上昇して価格優位性が低下し、国産牛肉の引き合いが強まったためとしている。
 
25年1〜4月の牛肉輸入量、冷蔵・冷凍ともに二桁の減少率
 2024年の牛肉輸入量を見ると、輸入の大部分を占める冷凍牛肉は280万2981トン(前年比4.9%増)とやや増加した(表1)。また、冷蔵牛肉の輸入量は7万1736トン(同9.7%増)とかなりの程度増加した(表2)。一方、25年1〜4月の輸入量を見ると、冷凍牛肉は86万7377トン(前年同期比10.5%減)とかなりの程度、冷蔵牛肉は2万3592トン(同11.6%減)とかなり大きく、それぞれ減少した。
 2025年の牛肉輸入量(冷凍および冷蔵)について展望報告では、(1)輸入牛肉の価格優位性の低下(2)中国商務部の輸入牛肉に対するセーフガード調査(注3)の影響(3)中国政府の米国産牛肉に対する追加関税の影響―などにより、170万トン(40.8%減)と大幅な減少が予測されている。
 
(注3)海外情報「中国商務部、輸入牛肉に対するセーフガード措置実施の調査を開始(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004023.html)をご参照ください。
 
 





 
(調査情報部 平山 宗幸)