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海外需給【豚肉/EU】畜産の情報 2025年7月号

豚枝肉卸売価格が上昇基調、豚肉輸出量は中国向けが大幅増

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25年2月のEU豚肉生産量、前年同月比1.3%増
 欧州委員会によると、2025年2月の豚と畜頭数は1813万8240頭(前年同月比0.7%減)とわずかに減少したものの、1頭当たり枝肉重量の増加(同2.0%増の98.39キログラム)から、同月の豚肉生産量(EU27カ国)は、178万4610トン(同1.3%増)とわずかに増加した(図1)。
 同月の豚肉生産量を主要生産国別に見ると、スペインでは、前年同月比3.9%増となったものの(表1)、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)の流行などにより生産性が低下する中、オランダなどからの子豚生体の輸入頭数が過去最高となるなど、国内外のスペイン産豚肉の需要に対応すべく肥育もと豚を確保する動きが顕著になっている。一方、オランダでは政府による廃業支援の影響などにより同11.4%減となった(注1)
 
(注1)海外情報「オランダ、政府による畜産農家への廃業支援などで豚飼養頭数が減少(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004044.html)をご参照ください。
 
 





 
25年4月の豚枝肉卸売価格、ドイツの口蹄疫封じ込めにより上昇基調
 欧州委員会によると、2025年4月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比8.0%安の1キログラム当たり2.01ユーロ(332円:1ユーロ=165.07円(注2))となった(図2)。25年1月にドイツで発生した口蹄疫により、域内の豚肉需給が緩和するとの懸念から同価格は下落傾向で推移していたものの、3月12日に一部地域を除きドイツがワクチン非接種口蹄疫清浄地域となったこと(注3)や、イースター需要などにより3月中旬から上昇に転じた。以降も上昇基調が継続し、直近5月12日の週は同2.08ユーロ(343円)となった。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末TTS相場。
(注3)海外情報「スロバキアで口蹄疫が発生、EU域内で3カ国目(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004072.html)をご参照ください。



 
 
25年3月の豚肉輸出量は前年同月比6.8%増、中国向けがけん引
 欧州委員会によると、2025年3月のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、18万1328トン(前年同月比6.8%増)とかなりの程度増加した(表2)。輸出先別に見ると、英国向け(同15.7%減)や日本向け(同13.4%減)はかなり大きく減少したものの、ブラジルや米国、カナダ(注4)からの輸入量が減少した中国向け(同21.0%増)の大幅増がけん引した。
 
(注4)中国は2025年3月以降、米国産およびカナダ産豚肉に対して追加関税を措置している。


 
(調査情報部 藤岡 洋太)