25年1〜3月の豚肉生産量は前年同期比1.3%増
チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2025年1〜3月の豚と畜頭数は139万頭(前年同期比0.6%増)、豚肉生産量は14万30167トン(同1.3%増)と、いずれも前年同期をわずかに上回った(図1)。
24年の豚肉生産量は、58万5386トン(前年比0.5%増)と前年をわずかに上回った。同国は飼料の多くを隣国のアルゼンチンなどから輸入しており、その価格動向が豚肉生産に影響している。チリが輸入している主要飼料原料となるトウモロコシの価格動向をみると、23年は下落傾向で推移し、同年9月には下げ止まった。さらに、それ以降も同水準で推移した結果、24年の年平均価格は1キログラム当たり0.24米ドル(35円:1米ドル=144.87円(注)、同17.2%安)と前年を大幅に下回った。一方で、24年の肉豚生産者販売価格は年平均で1キログラム当たり1.14米ドル(165円、同7.3%安)とかなりの程度下落したことから、同年の豚肉生産量は微増程度になったと考えられる。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年5月末のTTS相場。
25年1〜3月の豚肉輸出量は前年同期比4.7%減
2025年1〜3月の豚肉輸出量は、4万6937トン(前年同期比4.7%減)と前年同期をやや下回った(図2、表)。輸出先33カ国中17カ国で輸出量が減少し、特に主要3カ国(中国、日本、韓国)向けは、最大の輸出先である中国向けが1万7171トン(同7.4%減)、次いで日本向けは8401トン(同9.1%減)、韓国向けは7997トン(同14.9%減)といずれもかなりの減少となり、これらが大きく影響した。
24年の豚肉輸出量は、19万7651トン(前年比2.4%減)と前年をわずかに下回った。日本向けは4万1445トン(同8.8%増)、韓国向けは3万8981トン(同12.3%増)と、いずれも増加した一方、最大の輸出先である中国向けは6万7966トン(同17.9%減)と大幅に減少したことで、全体の輸出量は減少した。チリ食肉輸出協会(ChileCarne)によると、中国向け輸出量減少の一因は、中国国内の冷凍在庫量の増加にあるとされている。
25年2月1日、チリと欧州連合(EU)の間で暫定貿易協定(ITA)が発効された。これにより、EUがチリに対して設けている豚肉の関税割当枠が1万800トンから2万1200トンに引き上げられたため、今後EUへの輸出が促進されるものと期待される。
25年4月の肉豚生産者販売価格は前年同月を大幅に上回る
2025年4月の肉豚生産者販売価格は、前年同月比53.8%高の1キログラム当たり1.23米ドル(178円)と前年同月を大幅に上回った(図3)。
24年の価格は、年明けは下落傾向から始まり、3月には年間最安値となる0.66米ドル(96円)を記録した。その後は上昇に転じて、半年間で価格が約3倍上昇し、9月には年間最高値となる1.94米ドル(281円)を記録したのち、再び下落した。
(調査情報部 原田 祥太)